『 賽転がし 』
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男が見せた達成感まみれの憎たらしい笑顔は、あっと言う間に鉛玉の嵐に押し潰された。
。。。。。。。。。
サイコロガシなんて馬鹿馬鹿しい生物が現実に存在したなんて。
きっと、この場に居る全ての人がそう思っただろうな。
あの男の目的は最初からこれだったのだ。
賭けに勝つ事なんて、元々頭になかった。
少しでも賭けの規模を大きくし、少しでも大きなサイコロカジノを会場に、少しでも多くの楼総人を集めて、密かに持ち込んだ虫を。
「クソ野郎」
【賭けの勝敗がどうなろうが、社会のシステムも異常な貧富の差もどうせ本当に改善される筈がない。だったら最後に一泡吹かせてやろう】
……そんなところか。
「待ちやがれ×××め!」
「捕まえたら△△を△△△して、▲▲してやるぞ!」
ついさっきまで気品だの何だの語ってた金持ちどもが、汚い罵声を吐きながら小さな虫けらを必死に追いかける姿は確かに滑稽なものだった。
「……」
持ち主の人生を、全てを賭けた立方体。
その重みを知ってか知らずか、賽転がし達は後ろ足で器用にいつまでもいつまでも。
『 賽転がし 』