距離

仲良くなりたいと願う相手との距離
それでも自然と埋まらない距離

この人と願うあまりに思ってしまう
自分ではあまりにも遠い存在だからと
いつしか自分の心からも消えてしまう存在なのだと…

寂しさと悲しさの狭間
想い人は少しずつ離れて行き
心に空いた穴は大きくなっていく

救いを求めたい訳でも無い
独りが嫌いな訳でも無い

離れていく背中に涙が溢れ
別れと言う名の悔しさに沈み
想い人との心の距離が広がっていく

ガラスのような自分の心に
深い悲しみが広がりながらも
想い人との距離に嘘は無く
目の前にある風景へと消えていく

嗚呼…届けたいと願う
今の自分に必要なのは想い人である事
そしていつまでも自分の心を埋めて欲しい

想い人が振り返りながらも手を差し伸べ
一緒に行こうと自分を見つめる想い人の眼差し
手を取り引っ張られ包み込まれていく身体に
想い人は強く抱き締めて離さないと呟く

心の距離が埋まる瞬間
遠くなかったと思った嬉しさ
爽やかな空気で身が包まれる喜び
一言でも囁かれた感動と涙

"距離"と言う名の心
そばに居るからこそ気付かない
離れて初めて知る他者との距離

たとえ叶う事の無い関係であっても
自分が望んでいるたった一つの世界
それが大切な人との"距離"なのだから

距離

距離

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-29

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