俺の妹はスパイ様?2話<再会>
「意外とハンドガンって分解するの簡単なんだなぁ……」
自分で分解してみたが思いのほか簡単に分解することができた。きっと組むのが大変なんだろう。
「じゃあこのハンドガンあげるっ、お兄ちゃんっ!」
そういって渡されたのがデザートイーグルだった。ってかなんでこんなでかい銃をこんなロリな感じの子が持ってたのかは疑問だが。
「これ私じゃ使えないから、それに指届かなかったし……」
そりゃあ指が届かないんじゃ使えませんよね……ってことはこの銃の反動の大きさを知らないってことですねわかります。だから俺が扱えるという証拠がないけど(笑い)ってことが言いたいんだろ?そうなんだろ?
「だからこの銃私撃ったことないんだ。でも一つ分かってることは夏樹ちゃんでも扱えなかったってことだよ。それじゃあがんばってねっ!」
その後この銃を知るために分解してみた所存でございます。
「分解するのは簡単だったけどこれ組むのはどうやってやるんだ?一応設計図みたいなのはもらったけど意味が分かんない……」
いくら銃を扱うのがなぜかできるといっても銃を『組む』という作業ができないといざ手入れをするといってもできないのだ。レーシングカー見たくどこかのワークスが整備してくれるわけでもないし、そもそも日本には銃を修理してくれる便利な人はいるのであろうか。きっと組織の中にはいるのだろうけどこんなハンドガン如きを直している暇なんてどこにもないだろう。やっぱり自分で組むしかないのか。
「おにーちゃんコーヒー入れてきたよ。」
まだ朝のままエプロンを着ている夏樹。ここまで完璧に着こなしてると普段着よりもかわいく見えてしまう部分がある。特に胸とか胸とか胸とか胸とかっ!
「もうお昼かぁ……」
俺の上に足を置いている人たちは夢にも思ってないよなここにいるかわいい三姉妹とどこにでもいそうな男が殺し屋なんて。
「そばとうどんどっちがいい?」
そんなの決まってる。
「ラーメン。」
こういうイレギュラーな要求も難なくこなしてしまうっていうのが夏樹のすごいところでもある。次女でしっかりタイプかな、今すぐお嫁に出ても絶対幸せな家庭を気づくことができると俺は確信してる。
「はい、ラーメン。どうせそういうと思って作っておいたわよ。」
たぶん、こっからは憶測の話だが夏樹はうどんとそばは作ってない。きっと愛莉と星七が全部食べたであろう。特に星七が。(星七はそばとうどんが大好物なのだよ)で、しょうがなく作ったのがラーメン。ほかにも作っておかないと大変なことになるから自分で食べるという理由でチャーハンとあともう何品かを作ってあるはずだ。で、たまたまラーメンが出てくれて持っていたからラーメンを出してくれた。きっとこういう経緯だろう。
「ありがと、気が利くじゃん夏樹。」
ぷいっとそっぽを向いてあたりまえじゃんと一言。その後すぐに上に上がって行ってしまった。うん、今回は塩ラーメンか……意外とうまいじゃん。
ラーメンも食べ終わりデザートイーグルの組み立て作業に入る。一応おさがりってことでなにからかにまで磨いてみることにした。
「へぇーこのデザートイーグルにはライフリングがないんだな……銃にも特徴ってもんがあるんだな……なんか面白くなってきたぞ。」
一通り磨き終えたのでためしに撃ってみる。弾丸は50AE弾という自動拳銃の中では一番大きい弾丸を使用している。的まではざっと見て50メートルくらい、もしかしたらもう少し近いかもしれない。その人の形をした的の頭めがけて弾丸をぶち込む。
『バンッ!』
相変わらず大きい音が部屋中に響いた。防音設備は完璧だった。的に撃ったのは5発、頭に3発、胸に2発だった。やっぱり星七のようにうまくは撃つことはできなかった。あとは練習あるのみなのだろうけど。ついでに立てかけてあったAK47を撃ってみたが全くまっすぐ飛ぶことはなかった。(そもそもさっきの感覚がなかった。)
いまだに俺がロシアの殺し屋の仲間になったなんて考えられない。そもそも殺し屋の中にもこんな美人な姉妹が所属するなんて俺はこの組織の上層部が許せなかった。なんでこんな汚い仕事を女の子にやらせるのかが……きっと女の子のほうが都合のいいことがあるからこの子達にやらせているのだろうけど少しくらいはこの三姉妹の思いってやつを聞いてあげてもいいと俺は思う。そう思いながら俺は外に出る。そこにはすごく懐かしい顔があった。
「おっ!士郎じゃん。ひっさしぶりぃー。」
「お、お久しぶりです史郎先輩……わ、私のこと、お、覚えてますか?」
「奈々に、あと夏美じゃん!」
このチャラそうなのが夏美。そして臆病なのか口数が少ないのかはよくわからないがとりあえずおろおろしてるのが奈々だ。最初夏美にあったときは名前のまんまだなーって印象だったけど奈々と会ったときは、奈々イコール元気溌剌、カレー大好き、そんでもって歌がうまいというイメージなのだが現実世界はそううまくできてないとこの時に実感した。
「それにしても何年ぶりになるんだ?中学の時海外出張とかで親に引っ付いて行ってからだから夏美とはもうだいぶあってないな……ってか中学の時と違ってな……」
男ならだれでも見てしまう女性の胸。中学の途中までは知っているがその時は完璧なまな板だったのだが今ここで見るともうたとえるなら『デカメロン』。でも体型はぷっくりじゃなくてとてもすらっとしている。女の人って環境が変わると体型とかも変わってくるのか?
「っていうかそんな胸で運動できるのかよ。中学の時はあの胸だったから運動で来たもんなんじゃねーの?」
夏美がめっちゃおこりそうだ。だけどここで夏美が怒らないのは俺が一番知ってる。夏美は人に対してあたったり、怒ったりするのが大っ嫌いと小学校の時聞いたからだ。だからってそれを利用して悪口をずっと言い続けてるわけじゃない。その辺はいくらおバカな俺でも考えてるよ。どこぞのフラグブレイカーとは違ってね。
「史郎……?ちょっと私のほうに顔突き出してみて?」
疑わず俺は顔を突き出す。
『パチンッ!』
見事なまでの平手打ちが俺の頬に直撃。環境は性格までも変えてしまう恐ろしいものなのかっ!
「っん~~~~~っ!痛ってーなぁー。」
夏美は見事なまでにまだ昼にも関わらず顔が夕日に照らされたように真っ赤に染まっていた。
「わ、私だってずっと小学校の時コンプレックスだったわよっ!でも史郎が楽しんでるならそれでいいとおもって許してたけど……」
その夕陽に染まったような顔をした夏美の眼には男の弱点であり女の最強の武器である涙がたまっていた。今にでも俺の心を撃ちぬきそうな量がたまっていた。
「わ、悪かったよ……そもそもなんで嫌なことをいやって言わないんだよいくらなんでもいやって言われたら俺だってやらないよ。なんか理由でもあるのか?」
この言葉を聞いた瞬間夏美はうつむいたまま何も喋らなくなってしまった。
「あ、あのー……私のこと忘れてませんか?」
はい……忘れてました。
「いいやぁ?忘れてないともっ!忘れてるわけないじゃんよぉーお?」
自分でも何を言ってるかわからない。忘れてましたすいませんとか言ったら奈々に泣かれるだけじゃなくて夏美にぼこぼこにされて最後にはコブラツイストでも決められて病院送りにされかねない。
「そ、そうですか?よかったです……」
相変わらず鈍感で助かりましたよ。
「この空き地にこんなのできたんだねー。いつの間にできたんだよ……」
「夏美、もう少し再開したばっかりなんだから少しは再会をうれしく思ったりしないのかよ。奈々ももう少しはっきり言いたいことがあったら言ったほうがいいと思うよ。」
夏美はあれはあれで再開をうれしく思っていると思うけど奈々に関してはマジで思ってる。奈々は可愛いから彼氏なんてすぐにできるんだろうけどさ。
「じ、じゃあはっきり言いますね。史郎先輩……」
同時に奈々の顔が真っ赤に染まる。さっきの夏美以上に真っ赤に染まっていた。それを見て夏美はその場からちょっとずつだが離れようとしていた。だがこの時は夏美が徐々に離れて言っていることなんて気づくはずもなかった。
「な、なんだよ……」
「私、し、史郎先輩のことが、す、すすす……好きですっ!」
俺と夏美を含め、たまたまそこに出くわしてしまった夏樹、愛莉。なぜか星七はいなかった。この四人は固まったまま動けなかった。俺の場合はみんなの驚くじゃなくうれしさという感情も含まれていた。
「す、好き……って奈々っ!」
「へ?はっきりと言えって先輩がおっしゃるから……はっきり言っただけだよ?」
心から思う。もしかしたら臆病だけどここぞっ!ってときの行動力は奈々が一番かもしれない。あの三姉妹を含めてもトップクラスであることは間違いないと思う。
「じゃ、じゃあ私も好きっ!」
まさかの夏美も参戦。っていうかこれって参戦とかいう表現方法でいいのかどうか俺は分からない。
「な、なら私もお兄ちゃんのこと好きっ!」
「おー私もお兄ちゃん好きだよぉー。」
なぜか夏樹と愛莉も参戦。夏樹はいつも道理だけど愛莉に関しては寝起き以外にしか見せない素の言葉使いが出てるってことは普通の感情じゃないんだろうな。俺男だからよくわかんないよ?女子のそういう感情。なんでマジな妹または姉が俺にはいないんだ……
「わ、わかったからさ……とりあえず珍しくみんな揃ったわけなんだしさウチで飯食ってかないか?二人ともさ。もっとみんなと仲良くしようぜ?」
自分でも俺の顔が赤く染まってることが分かった。すごく顔が熱い。どうしようもないくらいに。
「じゃあ私がみんなの分作ってくるねっ!」
大急ぎで夏樹が俺の家へと猛ダッシュ。そこまで焦らなくてもいいんだけど心の中で言いたい気持ちをぐっと抑える。
俺の妹はスパイ様?2話<再会>