ボーイ◎ミートガール

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ボーイミーツガール

 マエダはいじめっ子だった。

 今日もマエダに殴られた。理由は、隣を横切ったから。グーで顔面を、ドーンと一撃。痛いなあ。
 ちょっと口の中に血の味が広がったけど、これは昨日殴られた時に味わったものなので、比較的冷静に、風味を感じられた。感じたかったかどうかは別として。
 で、マエダは殴って高笑いして去っていった。王者の風格であった。革命したいものだ。

 マエダは授業でもマエダだった。城川さん、だったかな。女の子をいきなり殴った。そして高笑い。先生も思考が一旦止まったが、見て見ぬふりをすることに決めたようだ。やはり、先生は自分の左腕についているギプスが、誰のせいで生まれたものなのかを思い出してしまうと、注意はおろか、目も合わせたくないようだ。心中お察しします。
 沢井さんは保健室に行った。泣きながら、しかし何も言わず歩いて行く。周りも何も言わなかった。懸命だ。黙ることこそ自己防衛なのだ。保健の先生も、何人も患者を診たくは無いだろう。

 放課後もマエダは健在だった。今度は人のカバンをトイレに流す遊びを見つけたらしい。これには村崎さんが被害にあった。一番綺麗なカバンを持っていたから目を付けられたようだ。僕みたいに、新品を買ったら公園の砂場で適度の汚してから使うくらいの気遣いは必要なんだよ、このクラスでは。

 マエダのおかげで、クラスみんな帰宅が早い。一目散に逃げていく。
 僕も逃げ帰った。

 けど、忘れ物に気がついた。明日は宿題がある。提出物には気をつけとかないと、よくマエダに破られて、未提出扱いにされてしまうのだ。できる日にはちゃんとやっておかなきゃ。この時間ならもうマエダも帰ったろう。急いで教室に戻った。

 教室の扉を開けると、女の子が食事をしていた。あ、あの子が食ってるの、あれだ。

 マエダだった。

 こうして、僕はその女の子と、出会った。

マジックミートガール

 僕は思わず吐いた。人間と言っていいのかわからないようなクソ野郎だったが、死んでいるその見た目や臭いは紛れもなく人間だった。人間が人間を食っていた。嘔吐は避けられなかったように思う。
「え!」
 その音で女の子はこっちに気がついてしまったようだ。が、僕はそちらを見れない。女の子は何かを床に落とした。ベチョ、という音がしたが何の音なのかなんて推察したいと思わなかった。
「うっわあ、見られちゃった……」
 女の子は、まるで、宿題をうっかり家に忘れてきちゃいました、くらいの動揺をしていた。こちらは胃の中のもの全てを吐き出しても嘔吐感が無くならず、ただ泣きながらぜえぜえ言っていた。なんだこの温度差は。
「ああ、えっと、大丈夫ですか」
 女の子は僕の方に駆け寄り、そっと僕の顔をのぞきこんできた。赤黒い血痕でよくわからなかったが、この子、見たことある。この学校の中等部の子だろうか。わからなかったけど、とりあえず「ヒイッ」と声にならない悲鳴をあげておいた。普通に怖かったのだ。
「」

ボーイ◎ミートガール

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  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • ホラー
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-10-28

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  1. ボーイミーツガール
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