『 台形魔王 』

「君は力を手に入れた。さあ、どう使うんだい?」

弱いモノを助けたい。

「僕は」

だから僕は、この街を脅かす魔王になった。

。。。。。。。。。

「国語の田崎先生、襲われたらしいよ」

「円錐だってよ、円錐」

「肉屋のおじさんも遭遇したって言ってた。算数じゃなく、気体の集め方を出題されたとか」

「マジかよ。水上置換とかの、アレ?」

クラスの話題は、今日も台形魔王が独占していた。

大人の前に突然現れ、小学生レベルの問題を出してくる怪人。
もしも答えられなければ、それはそれは恐ろしい目に。

「ちゃんと真面目に勉強しなくちゃね。将来使わなそうな部分を特に、重点的に」

この街の話題は、今日も僕が独占している。

『こんなの大人になったら使わないし』
そう言われ虐げられてきたモノたちの地位向上の為に、僕は今日も台形魔王に変身するんだ。

『 台形魔王 』

『 台形魔王 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-28

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