『 台形魔王 』
「君は力を手に入れた。さあ、どう使うんだい?」
弱いモノを助けたい。
「僕は」
だから僕は、この街を脅かす魔王になった。
。。。。。。。。。
「国語の田崎先生、襲われたらしいよ」
「円錐だってよ、円錐」
「肉屋のおじさんも遭遇したって言ってた。算数じゃなく、気体の集め方を出題されたとか」
「マジかよ。水上置換とかの、アレ?」
クラスの話題は、今日も台形魔王が独占していた。
大人の前に突然現れ、小学生レベルの問題を出してくる怪人。
もしも答えられなければ、それはそれは恐ろしい目に。
「ちゃんと真面目に勉強しなくちゃね。将来使わなそうな部分を特に、重点的に」
この街の話題は、今日も僕が独占している。
『こんなの大人になったら使わないし』
そう言われ虐げられてきたモノたちの地位向上の為に、僕は今日も台形魔王に変身するんだ。
『 台形魔王 』