エヰテル
Himmel über Berlin
電車の座席に腰掛けて
頭を垂れる人がいる
忽ち元気を取り戻し
憂いと悲観を振り払う
ビルの縁に腰掛けて
この世を見下ろす人がいる
人の騒ぎに耳貸さず
腰を浮かせて手を放す
彼の肩に回された
掌の温もりが
また彼のために叫ばれた
引き裂くようなNeinの悲痛が
信じ難い程すんなりと
私の肩にも伝わるのだ
信じ難い程鮮明に
私の耳にも聞こえるのだ
私は知らずに生きてきた
私は気付かず生きてきた
あるいは肩を振り払い
あるいは耳を塞いできた
自己完結した利己の色
金の様な感情の流通
利益を追求する
形骸の愛
エヰテル
此の空間は空虚に非ず