宗教上の理由 第二話

儀間ユミヒロ

 東京から離れた山里の、ちっちゃな神社に居候を始めたあたし。二日目は遅れて届いた荷物を整理したりして終わった。希和子さんや花耶ちゃんとは会話するようになったけど、あいつとは一言もしゃべらなかった。
 そして三日目。いよいよ新しい中学校への登校初日。引越しの片づけやら学校の準備やら手続きやらが手間取って入学式には間に合わなかったけど、転校手続きは希和子さんがみんなやってくれたし、制服もある。急なことのわりには早く済んだと思う。
 制服は、オーソドックスというの? 普通のセーラー服。なんで急な転校なのに制服が間に合ったかというと、こいつ、呼ばわりはちょっと可哀想か。この神社の娘、と呼ぶのもなんか抵抗あるけど、とにかくその嬬恋真耶が、一着多く制服を持っていたから。
 この神社は、村の守り神をまつっている。真耶はこの神社の巫女というか神使といって、神様に仕える役目をおおせつかってる。そんな身分だから、氏子の人達からも敬われていて、色々と贈り物をもらうことがあるらしい。
 特に女の子らしいものを贈ると幸せがやってくると皆信じているらしくて、制服もそういった中の一つ。しかも成長期だからってことで、わざわざ大きめのサイズも別にもう一着贈られた。その一着を、真耶より少し背の高いあたしが借り受けた、ってわけ。
 女の子らしいもの、ねえ。それを贈ることで、しきたりであるところの「女の子として育つ」という決まりがより強固になる、ってことみたいだけど。でもその、男の子を女の子として育てるしきたり自体を氏子までもが支持してるってあたりが、なんか頭痛いっていうか。そして当然のようにセーラー服着てる目の前のこのお人の存在がもっと頭痛いというか。初めて会った日もしれっとスカートはいてたもんな。

 神社から学校は遠いので、あたしたちは自転車通学。自転車は希和子さんが買ってくれた。感謝。真耶が先導して、あたしがついていく。特に会話は無い。
 しかしなんなんだろうね、この子の格好。制服はいいとして、あのヘルメットは何なの。いかにも学校指定ですって感じの、通学用のやつ。つかヘルメットの着用は任意って書類に書いてあったよね? だからあたしもかぶってないんだけど。
 それから制服の上に着てるコート。スクールコートっていうの? 紺色のなんの飾りも無いやつ。靴は真っ白な運動靴だし、鞄は革の手提げで、自転車のうしろにくくりつけるのに、キャラクターのキルティング布で包んで。いかにも田舎の中学生というか、今時田舎でもこんな子ほとんどいないんじゃないの?

 突然、真耶が停車した。
「ちょっと待ってね。お友達とここで待ち合わせしてるから」
ふーん。まあいいけど。でも、この子の友達ってどんなんだろう? と思っていると、向こうから一人の女の子がこっちめがけて走ってきた。
「おっはよー! 寝坊したー!」
そう叫びながら女の子は駆け寄ってきて、真耶の手前で急停止。
「おはよう。そんなダッシュしなくても平気だよ? 苗ちゃん足速いから遅く出た分もう取り返しちゃってるよ」
苗ちゃん、と呼ばれた女の子は息を切らせながら真耶に向き直った。
「ハアハア、なんだー、だったらハアハア、こんな必死こいて走らなくても良かったじゃーん。ハア、心臓バクバクだよー。ほらね?」
彼女は真耶の手を取ると、自分の左胸に押し当てた。
「ほんとだー。すごいドキドキ言ってるー」
…って。
 なんだって、抵抗もなく、男に胸さわらせてんのよー!

 「あ、真耶が言ってた、転校生の子? ごめん自己紹介しなきゃね。ウチは御代田苗。真耶のマブダチ、って言い方古いか。とにかくこれからよろしく。以上!」
ちょっと舌っ足らずのような、ハキハキしたような、そんな喋り方で彼女は自己紹介してくれた。あたしは名前を名乗ったあとに、よろしくとだけ付け足した。
 「苗ちゃんは、運動が得意なんだよ。かけっことか、小学校のときはクラスで一番速かったんだから。あたしなんか、全然追いつけないよ」
男が女に足で負けるってどうなのよって思うがそれはおいておこう。あたしと真耶は自転車を押しながら苗ちゃんと一緒に歩いた。髪は綺麗な黒のストレートボブ。制服の上にはウィンドブレーカーを羽織り、靴はくるぶしまである赤のスニーカー。ちょっと安心したよ。学校は結構服装が自由って聞いたけど、真耶の服装見て実は厳しいんじゃないかって思って。
「真耶はこういうの好きなんだよ。制服にはキッチリしたのが似合うと思うんだって。言われてみるとそうなんだよね。だからウチもなるべくそうしてるつもりなんだけどね」
「苗ちゃんは顔がキリッとしてるから、ダラっとした服よりピシッとしたのが似合うよ? 今日のタイ、すごく決まってる。アイロンかけた?」
と、真耶。えへへー、と笑う苗ちゃん。
「服の着こなしをほめられると嬉しいよね」
うん、すごくよくわかる。でもその次の言葉には納得できなかった。
「特に今みたく、女子にほめられるとね」

 少しすると、また真耶が立ち止まった。
「ここでまた一人、友達来るから。ちょっと待っててね」
と言っている間もなく、向こうから女の子がやってきた。手を振りながら、おはよー! とこちらに向かって呼びかけてくる。あたしたち三人もおはよーと呼び返す。女の子が合流すると、真耶が話し始めた。
「紹介するね。昨日メールで書いた、田中真奈美ちゃん。まだ慣れないことも多いと思うけど、色々よろしくね」
真耶が言うべきことをほとんど言ってしまったので、あたしはよろしくとだけ言った。今度は彼女が自己紹介を始めた。
「霧積優香です。家はこの近くで農場やってます。今度遊びに来てくださいね」
ウェーブのかかった、これまたショートのボブで、眼鏡をかけている。身体は、スレンダーな苗ちゃんと真耶に比べて、むしろふくよかで、でも太ってるわけではなくて…。
「ゆゆはさー、あっ優香のあだ名だけどさ、こいつ胸デカいんだよ。多分クラス一だね」
苗ちゃんが的確に言ってくれた。そうそれそれ。苗ちゃんは真耶に話を振る。
「なんかまた大きくなったんじゃね? ちょっと確かめてみ?」
と言うやいなや、真耶の手を取って、優香ちゃんの胸に。
 ムギュっと。
「あーほんとだー。優香ちゃん内村屋のあんまんみたいー」
って真耶コラ! 少しは抵抗しろよ!
「いやーん」
って優香ちゃんもまんざらでもないリアクションしないでよ!

 学校に到着。あたしと真耶はいったん職員室に寄って先生方に挨拶して、教科書を受け取る。普通ならこのあと担任の先生に連れられて朝のホームルームで紹介されるんだろうけど、もうみんな転校生が来ることは知っているし、先に教室で待っているように言われた。真耶が同じクラスだから案内してもらえ、って。なるほど合理的だとは思うけど、真耶と同じクラスってのはちょっと引っかかる。
 あたしたちのクラスは一年B組。苗ちゃんと優香ちゃんが待っていた。クラスは一学年に二つしかないので、そりゃ高確率で同じクラスになるわけだ。もっともあたしのナビゲーター役として真耶を同じクラスにした可能性もあるけど。それは喜んでいいのやら、ハテ…。
 「おはよー!」
真耶が、それほど大きくない声を無理めに高くして、教室全体に呼びかけた。中からもおはよーという挨拶が返ってくる。あたしはとりあえず会釈だけして、真耶のあとについて教室に入る。するとすかさず、苗ちゃんが教壇に駆け登って皆に呼びかける。
「みなさーん、聞いてくださーい! 今日からこのクラスに転校してきた、田中真奈美さんでーす!」
すぐさま苗ちゃんは教壇から下りてあたしの手を引っぱる。自己紹介しろってことね。優香ちゃんも背中を押してくるので教壇に上る。ちょっと緊張する。
「…田中真奈美です。よ、よろしくお願いします」
クラス全体から拍手が沸き起こった。恥ずかしいけど、なんか嬉しい。

 クラスの雰囲気には早く馴染めた、ほうだと思う。苗ちゃんや優香ちゃんがあたしに上手いこと話を振ってくれて、それにあたしが答えると他の子達も乗ってくる、って感じ。
 あたしの机もすでに準備されていた。真耶の後ろってのが気に入らないけど。つかなんで女子の列にこいつの席があるのよ、って今更突っ込んでも仕方ないくらい、女子としてクラスに馴染んじゃってる。さっきからあたしを中心にした輪の中で、女子と一緒にいても誰も何も違和感みたいの感じてないみたい。
 おっと、チャイムが鳴った。みんなそれぞれの席に戻る。数分すると担任の渡辺先生登場。さっきも挨拶したけど、サバサバした感じの女の先生だ。希和子さんと同い年くらいかな? 改めての自己紹介は無し。先生は、というわけで田中がみんなの仲間になった、仲良くしてやってくれ、とだけ言うとそのまま連絡事項に入った。

 よく考えたら、あたし、中学校の授業って初めてだ。科目ごとに先生が変わるのは新鮮だけど、全部の先生の名前と顔を早く覚えないとね。あたし勉強決して得意じゃないから心配だったけど、授業の中身はまだそんなに難しくないし、クラスの子達が色々フォローしてくれる。一番熱心なのは真耶だけどね。色々思うところはあるけど好意は受け取っておく。しかし、頭いいんだなぁ。あたしのこと気にしながらなのに、小テストあっという間に終わらせちゃったよ。
 午前の授業は無事終了。給食は結構おいしかった。どでかい豆の煮物に一瞬引いたけど、食べたらさっぱりした甘さで美味しかった。花豆って言うんだってさ。
 午後は体育。男子は教室で着替えだけど、あたしたち女子は更衣室で着替える。あたし体育は結構好き。別に運動得意とかじゃないけど、一応平均よりはできるし、勉強よりはね。なんてことを話しながら歩いていると、いつの間にか更衣室に到着。

 って、ちょっと待ったー!

 なんで真耶がいるのよ! ここ女子更衣室でしょーがっ! ちょっとちょっと何なのこれ。おかしくない?
「おかしくないよ、ねぇ?」
あたしの叫びに反応した子があたしにそう答えつつ、隣の子に同意を求める。
「うんうん。だってここ、女子更衣室だもんねぇ?」
いやだからさ! 女子更衣室に真耶がいるのはおかしいよね? って言ってるの! おかしいでしょ? ねえ、おかしいでしょ? 真耶のことをハッキリ指さしながら叫ぶするあたしに、また別の子が言った。
「女子が、女子更衣室で着替えるのが、なんでおかしいの?」

 念のため聞いてみた。真耶の本当の性別をみんな知っているのかと。
「ああそういうこと? 知ってるよみんな。神社のしきたりで、産まれたときは男だったけど、女として育てられた、って」
答えたのは苗ちゃん。
「この子の神社、村人みんながお参りするから、その決まりは村の人みんな知ってるはずだよ?」
ええっ? こいつ男だってみんな知ってるの? じゃあなんで更衣室で一緒に着替えることには疑問を抱かないの?
「って、言われてもねー」
「今までずっと、こうだったもんねー」
女子たちは口々にそう言う。あたしは一層声を大きくして主張した。
「おかしいって! この村じゃいいかもだけど、日本の常識としておかしいって! つかみんな中学生なんだから、小学校までとは変えるべきだってば!」
 「でもこの村の常識では、真耶ちゃんは女の子だよ?」
腕組みしながら言ったのは優香ちゃん。この子とは、いったんはお友達になれそうだと思ったけど、今は敵。真耶の同室着替えを認める限りは、みんな敵。
「真耶ちゃんの身体が男の子だって、みんな知ってる。でも女の子として扱うのが、この村では普通のことなの。あたしたち小四の時から男女別々で着替えてるけど、そのときから真耶ちゃんは女子と一緒だから。それだけ続いた習慣は、簡単には変えられないよ」
「そうだなー。だってもしそれを変えるとしたら、真耶が男子と一緒に教室で着替えるってことじゃん? それは男子のほうが嫌がると思うよ?」
と続けたのは苗ちゃん。今証明するよ、と言いながらケータイを取り出すと誰かにかけた。
「もしもし? あっごめん着替え中に。…あのさ、もし真耶がそっちで着替えるって言ったら、それでもいい?」
かけた相手は同じクラスの男子だった。すると受話器から離れてても分かるくらい、教室が大騒ぎになっていることが分かった。
「悪い冗談言うな!」
「女子と一緒に着替えとかありえねー!」
「俺達を犯罪者にするつもりかよ!」
ああ。予想できたリアクションとはいえ…。何度目だよ、また頭クラクラしてきた…。ごめん、あたし保健室で休むわ…。

 「あの…」
口を開いたのは真耶だった。
「あたし、トイレで着替えてくるよ。だから真奈美ちゃん、遠慮なくここで着替えて? みんなも、それでいいよね?」
と言うと、真耶は荷物を持って出ていった。ドアを開けるとき、寂しそうな顔をしているのが、一瞬だけ見えた。

 体育の授業は楽しかったけど、誰とも話さなかった。着替えを終えて戻ってきた真耶とはもちろんのこと、苗ちゃんや優香ちゃんも今は敵なので話さなかった。
 体育が終わって教室に戻り、帰りのホームルームと掃除が終わってからも、冷戦状態は続いた。苗ちゃんたちは一応一緒に帰ろうと誘ってくれたし、あたしも冷淡な口調でありがとうと言ったけど、帰り道は無言だった。
 家に帰ってからも、あたしから真耶に話しかけることはなかった。様子が変なのに気づいた希和子さんが色々尋ねてきたが、何でもないで押し通した。
 翌日も、そんな状態が続いた。あたしからは誰にも話しかけないし、誰もあたしに話しかけない。
 それでも、登下校や給食、教室移動ではあたしを輪の中に入れたままだったのは不思議だった。これだけ関係がギクシャクしてるのに、誰もあたしを責めない。苗ちゃんも、優香ちゃんも、真耶も。
 その日の学校も、なんという事無く終わった。

 次の日。今日も平凡な授業ばかりの一日。ただ困ったことに、体育がある。真耶はまたトイレで着替えるのだろう。そしてあたしは真耶を追い出した悪人として、のうのうと、ぬくぬくとした女子更衣室で着替えるのだろう。
 そう。四月といってもこの山里はまだ寒い。暖房のないトイレで着替える真耶はきっと寒いだろう。身体だけでなく、心も…。
 なんだか悪い気がしてきた。一緒に着替えよう、って言うべきか? いやそれは無理。男と一緒に着替えだなんて、身体が拒否する。逆にあたしがトイレで着替えようか? うん、それは名案、でもないか。あいつが他の女子と一緒に着替えてるさまを想像するだけで鳥肌が立つ。それに、寒いし…。ってその寒い思いを真耶にさせてるんだ、あたし。
 悪い奴だ…。

 体育の時間がやってきた。
 みんなで更衣室に移動。入り口の所で真耶だけが集団から離れ、じゃあ着替えてくるねと手を振る。
 と、その時。
「待った」
苗ちゃんが真耶の手をつかんだ。キョトンとする真耶。苗ちゃんはちょっと来てと言いながら更衣室のドアを開ける。いや、真耶はトイレで着替えるってことで決着したんじゃ…。
「ジャーン!」
苗ちゃんと優香ちゃんが叫んだ。開け放たれたドアの向こうに…。

 何これ。一昨日までなかったものが、突然更衣室の中にそびえ立っている。
「昨日、ゆゆと一緒に作ったんだ。そんじょそこらの洋服屋くらいの強度はあるはずだぜ?」
苗ちゃんがそいつの壁をバンバンと叩く。ああ確かにブティックの試着室みたいだ。長方形の木のボックスで、手前にカーテンが付いている。
「こんなの、どうやって作ったの?」
思わずあたしは訊いた。突っ込みどころはそこじゃない、何のため? と訊かなきゃ、と思いつつ。
「ウチら日曜大工得意なんだよ。ゆゆは農家じゃん? 納屋とか柵とか直せるし、こないだ直した家畜小屋の材料も残ってたしな。あとウチさ、ペンションなんだよ。壊れたところ直したりしょっちゅうしてるからさ。大工さんに頼むより安上がりじゃん?」
それにしても、しっかりした作りだなぁ…。でも、これがあるってことは。
「真耶ちゃん専用お着替えルームが出来たから、もう大丈夫だよ? ねえ真奈美ちゃん、真耶ちゃんここで着替えさせてもいいかな?」
 一人の友達のために、ここまでやるなんて。
 断る理由なんて無い。あたしは、全力で首を縦に振った。

 真耶の喜びようと言ったらなかった。苗ちゃんと優香ちゃんに同時に飛びつき、抱きついてキャッキャと笑う。
「早速使ってみ? 何か不具合あったら言ってくれ?」
苗ちゃんに促されて、中に入る真耶。足取りが誰が見ても分かるくらい軽い。
 さああたしも着替えなきゃ。と思っていたら、優香ちゃんが手招きしてる。怒られるのかな。そりゃそうだ。彼女の友達を寂しい目に遭わせたんだから。覚悟はしてる。優香ちゃんの手に、あたしは近寄っていった。
「あのね、真奈美ちゃんも東京から来たばっかで、戸惑うことも多いと思うの。でもやっぱあたしたち、女の子としての真耶ちゃんとずっと一緒だったし、村の人たちもそうやってずっとやってきたから、今さら変えるわけにはいかないの。だから真奈美ちゃんもお願い。真耶ちゃんが女の子だってことに、慣れて行って欲しいの」
優しく諭されたので、拍子抜けした。でも確かにそうだと思う。続けていた習慣を急に変えるのは難しいことだと思う。
「少しずつ、でいいのよ? 何か困ったり、我慢出来ないことにぶつかったら、あたしと苗ちゃんでいくらでも聞いて上げるから。何か出来ることがあったら、すぐやるから」
あたしは、全力でうなずいた。その言葉にウソがないことは、分かっているから。現に、こんな立派な着替えルーム作っちゃったんだもの。
 そしてトドメは、この一言。
「もう真奈美ちゃんも、あたしたちの友達の輪の中のひとりだから、ね?」
だからずっと、あたしと一緒に登下校でも給食でもいてくれたんだ。謝る前に、こっちの言葉が先に出た。
「ありがとう」

 真耶は着替えルームの中。あたしは、安心して着替えを始めた。と、その時。
「あーっ! ヘアゴム切れてる! ねえねえ、誰か余計に持ってない?」
苗ちゃんが叫んだ。彼女の髪はそんなに長くないけど、確かに運動するには邪魔。でもあたしは、余分なゴムなんて持ってないし…。
 「苗ちゃーん、あるよー!」
着替えルームの中から声がした。真耶だ。
「おおっ真耶。わりい。貸してな?」
苗ちゃんが着替えルームの前へ。カーテンの間から真耶の手が現れると。

 全開。

 「はい、苗ちゃんこれ」
「サンキュー」

 っっっっっって!

 使用中に出入り口オープンしたら意味ないじゃん!!

(つづく)

宗教上の理由 第二話

苗の声は、小見川千明さんを想定しながら書いています。「ちょっと舌っ足らずのような、ハキハキしたような」喋り方というのは彼女独特の言い回しを表現しています。
優香は花澤香菜さんのイメージです。普段はほんわかした感じですが、真奈美を諭すときだけ真剣な喋り方になります。

宗教上の理由 第二話

村のはずれの、ちっぽけな神社。東京からやってきた真奈美は、そこに住まう青い目の巫女と出会います。その巫女―真耶と真奈美は仲良くなるように思えました。けれど、真耶の身体には、ある秘密があったのです。 前回の作品『宗教上の理由』の続編です。舞台を中学校に移し、主人公と主人公が居候する神社の「巫女」との物語に、新たな登場人物が加わって、ドタバタを繰り広げます。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-26

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