『 意地悪少女とシャボン玉 』
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来る日も来る日も僕はシャボン玉を吹いた。
雨の日も風の日も雪の日も、毎日吹いた。
ある曇った日。
信じられないくらい、とんでもなく大きなシャボン玉が出来た。
感動して涙が溢れ出るくらい大きかった。
ぱちん
彼女の手が音もなく伸びて、躊躇いなくソレを割った。
「やっぱり」
とことん性格が悪いんだ。
最高傑作が出来たら、やると思ってた。
「おかえり」
薬も医者も治せなかった、連れて帰れなかった彼女を、ついに僕は取り戻した。
シャボン玉と、根気だけで。
『 意地悪少女とシャボン玉 』