『 見つめて殺して 』

右目からビームが出るようになった。
ある日突然、私は父にそう改造されてしまったのだ。

「ビームは男のロマンだろ?」

いつものように、全く悪意の感じられない子供のような笑顔。
そのロマンとやらは、娘をロボットに改造すると言う悪魔の所業すら正当化出来てしまうくらい凄いモノなのだろうか。

「……」

六回目の無断改造で、ようやく私の我慢は限界を振り切ったらしい。
無意識の内に右目が父を捕捉していた。



「なんか最近さ、顔の皮膚が突然ちょこっとだけ火傷するんだよ」

「……は?」

「いや、俺も意味分かんないんだけど。授業中とか、急に」

必死になって説明する橋本を馬鹿にしながら、私は内心焦っていた。

とりあえず右目は閉じておこう。
見つめすぎて好きな人を殺しちゃいました、てへっ……なんて、本当笑えない。

『 見つめて殺して 』

『 見つめて殺して 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-25

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