『 透君の秘密 』

初めてその猫を見たのは十六日前。
通学路で水色の何かを夢中になって食べていた。
その水色を全部食べ終わった猫は、パンパンに膨れ上がって空の彼方に飛んでいった。


次に見かけたのは確か八日前。
小学校の少し手前でまた水色の何かを(この前のとは違う形状)必死になって食べていた。
その水色を全部食べ終わった猫は、犬になり、鳥になり、マントヒヒになり、透君になった。
透君は慌てた様子で学校に走っていく。
私も慌てて学校に向かった。



水色ペンで道路に何かを描いてみた。
よく分からない、水色の何かを。

「これで良し」

木の棒、ザル、長い長い紐。
その紐を握り、物陰から様子を見ながら……何故だか私はニヤニヤ笑っていた。

『 透君の秘密 』

『 透君の秘密 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-25

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