『 僕の妹が紫陽花で紫陽花なわけがない 』
。
「あじさいで世界を支配するんだ!」
たけのりが宣言したのは六日前のこと。
授業中の馬鹿馬鹿しい発言に皆は笑って、本人も笑っていた。
「あじさいが世界を、あじさい様が」
たけのりの隣の席の奴がそう呟いていたのは四日前のこと。
肩から紫陽花が生えていた。
「あじさい様!あじさい様!」
クラスに信者が増えたのは二日前のこと。
たけのりが触れた場所に紫陽花が生え、その紫陽花に洗脳されているらしい。
「……あじさい様」
妹が不自然な巨乳になったのは昨日のこと。
パジャマの胸の部分が、ぺったんこだったおっぱいが、妙に異様に不気味に張っていた。
。。。。。。。。。。
「くそっ、何故君が僕の野望を邪魔す」
妹に彼氏が出来たのは知っていた。
それに文句を言う権利なんか、僕にはないことも分かってる。
「世界を紫陽花の魔の手から救いたかった。人類の救世主になりたかった。そういう事にしといてくれ」
そう言いながら僕はとどめを刺した。
……本当の理由なんて言ってたまるか。
『 僕の妹が紫陽花で紫陽花なわけがない 』