僕の知ってた場所
虫を捕っていた
長く草の生えた 広い空き地で
日が暮れるのも忘れて
網を振っていた
あの場所は宝箱だった
ぼくのたからものだった
そこに立っていたカンバンを
幼いぼくはまだ読めなかった
今僕は大きくなって
網は持たなくなったけれども
毎日が楽しかった頃の僕は
確かにそこで走っていたんだ
無数の夢(いのち)があったそこには 今
はででおしゃれな箱と
人が数人ぽっちいるだけで
でも誰も悲しんだりもしないで
知ってるかい?
昔、あそこには小狭い空き地と
少年の笑顔があったんだ
僕の知ってた場所