エンゼル・シュガー
雪がちらちら降っていた。
路面にうすくまぶされた砂糖に足跡を付けていく。
街頭の青を反射して、いろんな光るトッピング。
青い車はミント・ケーキ。
黒い車はショコラ・ケーキ。
家家はさしずめモンブラン・ケーキと言ったところだろうか?
ああ、天からの甘さよ。
天使の白よ。
どうかこのまま、すべてを覆い隠してくれはしないか。
打ち捨てられたコンビニ袋。
蛆の沸いた真っ赤なぼろきれ。
恋人を失った手袋。
汚れてしまったひとの心。
ああ、残してきた者達よ。
私の、罪よ。
どうかこのまま、白く、どこまでも白く、塗りつぶして。
甘さのなかで、溶けてなくなれ。
エンゼル・シュガー