エンゼル・シュガー

雪がちらちら降っていた。
路面にうすくまぶされた砂糖に足跡を付けていく。
街頭の青を反射して、いろんな光るトッピング。
青い車はミント・ケーキ。
黒い車はショコラ・ケーキ。
家家はさしずめモンブラン・ケーキと言ったところだろうか?

ああ、天からの甘さよ。
天使の白よ。
どうかこのまま、すべてを覆い隠してくれはしないか。
打ち捨てられたコンビニ袋。
蛆の沸いた真っ赤なぼろきれ。
恋人を失った手袋。
汚れてしまったひとの心。

ああ、残してきた者達よ。
私の、罪よ。
どうかこのまま、白く、どこまでも白く、塗りつぶして。
甘さのなかで、溶けてなくなれ。

エンゼル・シュガー

エンゼル・シュガー

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-20

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