布団

 布団の中が、一番寂しい。
 起きて、学校に行ったり、宿題をしたり、本を読んだりしてる間、一生懸命で忘れてることを、私は寝る前に、布団に入ったとき、ふと思い出す。だから、布団の中が一番寂しい。恋人もおらず、両親と一緒に寝るのもとっくに卒業してしまって、一人きりで布団で、一人には大きいベッドで寝るのは寂しい。真っ暗で何も見えないのが、また、色々思い出させて、寂しい。私は何故生きてるんだろうとか、そんなの、答えなんてない。生きてるだけ。動物が、植物が、生きてる意味なんて考えるかしら?きっと考えない。彼らは生きるために生きている。人間は余計なことを考える力が備わっているために、そんなことに一々悩まされるのだ。けど、生きる意味がないのって、それも寂しい。
 女の人でも男の人でも、誰でもいいから、大丈夫よって抱きしめて一緒に眠ってくれる人がいたらと、いつも思う。誰でもよくはないけど、誰でもいいから、って思う。寝て、起きたら忘れてしまう。そんなどうでもない寂しさなんだけど、その時の私には一大事で、泣いてしまうこともある。寂しい。寂しい。寂しいとき、私は世界の真理とか、そんな難しいことが全部分かる気がする。本当は、わからないのだけど。きっと世界の真理だとかっていうのもなくって世界はただ動いてるだけなんだ。だから平等なことなんて何もなくって、私はこんなに寂しいのにいつまでも寂しいままなのだ。神様なんていないから、お願いしたって意味がない。寂しいってなんなのかしら。人は結局一人で生きていかなければならないのなら、寂しいなんていらないのに。なんて無駄なものを人は持っているのだろう。こんなの、いらないのに。
 こんな風に感傷的になっても、朝にはすっきり忘れてて。急いで用意しなきゃ、学校、嫌だな。といつもみたいに無駄なこと考えて、寂しいなんて思わない。
 私は布団の中の寂しさが、心地よいと思うこともある。寂しい自分を可哀想に思って、自分で自分を慰めて、眠りに落ちるのは、悲しいようで、心地いい。私は布団の中で、誰かに抱きしめられて眠る想像をするのが好き。とっても落ち着いて、温かい気持ちになって、その後余計に寂しくなるけれど、こんなことがいつか現実になればいいなって、きっとそうなったら、それ以上の幸せなんてないわって思う。きっとそうなったら、私はもう生きていけないかもしれない。だって、それ以上の幸せがないなら、生きてる意味なんて、ないもの。きっと私は急激に老けてすぐ死んじゃうんだわ。
 私は生きるのが怖い。時々無性に不安になる。でも、死ぬのも怖い。私は死にたいんじゃなくて、幸せになりたいの。幸せになって、そのまま眠ってしまったら、きっと、それって、すごく素敵。その時なら、死んでもいいかも。
 それで、結局今日も私は寂しい布団の中で眠る。おやすみなさい。

布団

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-19

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