我らが英雄なり
小説家になろうから転載。
登場人物紹介第一期
登場人物第一期
加藤かとう 巧たくみ 178㎝ 67㎏ 15歳
全国アマチュア剣道大会を中学生で優勝したほどの実力を持つ。頭には問題あり。
親がいなく、一人暮らし。
特技は料理と剣。別名 タクミ=カトウ
杉山すぎやま 太純たじゅん 174㎝ 60㎏ 15歳
全国アマチュア剣道大会を中学生で準優勝したほどの実力を持つ。実にクールで冷静に試合を進めるため、周りからはクールソードと呼ばれるほど。
巧と同じく一人暮らし。
特技は本の早読みとものまねと剣。別名 タジュン=スギヤマ
師匠? 160㎝ 52㎏ 年齢不明
太純と巧の師匠。名はまだ公開されてない。ただ人間離れした身体能力を誇る。
カナミ=メイ 167㎝ 55㎏ 15歳
海岸に流れ着いた巧を助けた美少女。1年前までは兄と暮らしていたが病気で亡くなり現在は一人暮らしをしている。
ウェイ=カル 182㎝ 70㎏ 15歳
非常に元気がよい男子。元気が取柄で元気が短所なパワフルボーイである。
エーミル=ジン 163㎝ 50㎏ 14歳
頭が非常に良い女みたいな顔をした男。非力だがとっさの冷静な判断は太純以上である。
1話 どうやら異世界に来たようです......
「どこだよ……ここ」
太陽の光が差し込んで光っている海を背景に、巧はそうつぶやいた。巧がいる場所はいたって普通の海岸。だがそこは日本では全く見たことも聞いたこともない海岸だった。
巧は頭をフル回転させた。なぜ今ここでうつぶせになって倒れてるのかを考えるためである。
しばらくすると、巧は手をポンッと叩いた。
確か師匠と稽古するために海に行って、天候が荒れて、師匠行方不明になって探していたら波に飲み込まれたんだっけな。
じゃあなんで今ここにいるんだろう? 服はべたべたで海の匂いがする、流されてる内にここに来てしまったと考えるのが良いみたいだ。
巧はそう自己解決する。そして砂浜に手を置いて立ち上がろうとした瞬間。
「痛!!」
突然巧の頭に激痛が走った。どうやら流されてる時に頭を強く打ったらしい。
やれやれ。とことん最近はついてないな。
剣道大会を優勝して、太純と一緒に海に行く。ここまでは良かったんだ。問題は休憩中にいきなり天候が荒れて師匠が行方不明になったことから始まった。
その後巧と太純は師匠を探すことになるのだが、その途中で大波に飲み込まれたと……本当ろくなことがないな。
ここまで不幸が続くともうすぐ死ぬんじゃないか? などの不安を抱く巧。
「はあ……良いことないかな」
巧がそう言った瞬間。
「あの……大丈夫ですか?」
一人の美少女が巧の目の前に現れた。恐らく頭を押さえながらうつぶせで倒れている巧のことを心配に思ったのだろう。
その美少女は小さい桃色のバッグを持っており、年は巧と同じくらいだった。
赤色の髪の毛に、ピンク色の服。いたって普通の服だがそれが可愛らしい顔をさらに強調していて良い。そして注目すべき点が胸部だ。
CからDと思われるちょうど良い大きさの胸。間違いない。この美少女こそ本当に意味で欠点が無い、完璧な少女だった。
「大丈夫です少し頭痛がしただけなんで」
実際大丈夫じゃないのだが、やはりこれが男の本能なのだろう。しかし何とも、うまい返しだった。女性経験がほとんどない巧にとって、ほぼ百点の返しだったに違いない。
ただ大丈夫ですとは言ったものの、やはり頭痛がする。どう頑張っても頭痛が邪魔して立ち上がることができなかった。
「本当に大丈夫ですか?」
大丈夫……とは言えるはずもなく巧は諦めて彼女の手を借りる。
「よいしょっと」
巧は彼女の手を頼りに、立ち上がった。それと同時に激しい頭痛が巧を襲う。だがそれよりも彼女の手をつかんだことに巧は興奮していたため、あまり……いや全くその激痛に動じてなかった。
「ありがとう」
巧は笑顔でそう言った。その笑顔を笑顔で返す彼女はとても可愛らしかった。
「そういえば名前聞いてなかったね。私はカナミ=メイ。カナミで良いよ!」
「俺? 俺は加藤……」
ちょっと待てよ……。どうやらこの国? はアメリカみたいに名前を先に言うらしい。えっとつまり……タクミ=カトウか……。
変な名前だなっと巧は思いながらカナミにこう言った。
「俺はタクミ=カトウだ。タクミで良いよよろしくな!」
よし何とかクリアすることが出来た!
心の中でガッツポーズをする巧。
「へっくしょん!」
ガッツポーズとほぼ同時に巧は大きなくしゃみをした。無理もない。濡れた服を着ながら会話しているのだ。
鼻水をすすりながら、ほぼ鼻声に近い状態で巧はカナミに話しかけた。
「あのさ……ここってどこ?」
「え? ここはアトロスト王国だけど……」
驚いた表情でカナミは言った。
それよりもアトロスト王国? 聞いたことないな。
巧は深く唸りながら考え込む。
もしもここが外国として……いや外国以外ありえないんだけど……なぜ言語が通じるんだ? 巧が喋っているのは日本語。けどカナミにはその日本語が通じていた。
ふと巧は何かを思い出したかのようにゴホンと一つと咳払いをしてカナミに話しかけた。
「ちょっとこの国の文字の本みたいなの持ってない?」
「持ってるよ」
「ちょっと貸してくれない?」
良いですよって言ってカナミはバックから分厚い辞典みたいなのを取り出した。 巧はお礼を言って、本を受け取ると、無言でページを適当にめくり始める。そして突然本を閉じたと思ったら無言でカナミに本を返した。
ぽかんとするカナミ。そして巧はこう言った。
「何だよこれ見たことない文字ばっかじゃん……」
そう巧が見たのは、ただ変な記号を三個くらいくっつけた、見たことも聞いたこともない文字だった。
じゃあなぜ日本語が通じるのか……理由は一つ。多分読み方だけは一緒なのだ。さらに幸いそこまで難しくなかった。
巧は精神を集中させ、物事を頭の中で整理する。
「なるほどな……」
何か悟ったかのように手をポンッと叩いて、巧は言った。
「どうやら異世界に来ちまったようだな」
笑いながら言うが、笑いごとじゃない。
巧は深く息を吸い、海岸に向かって大声で叫んだ。
「ふっざっけんじゃねえ!!」
巧の皮肉な声が空高くこだました。
我らが英雄なり