渇いたロバ

水場へ連れてきたロバに
水まで飲ますことは出来ない
飼い主はそれで諦めて
さっさと道を引き返す
ああ非情! ああ冷酷!
しかしロバは慌てて飼い主の後を追う
ロバは飼い主を愛したいのだ
ロバは飼い主の愛に飢えているのだ
舐めて湿らせた口を飼い主へ向ける
剥き出した歯を見せてにっかり笑う
飼い主はそれを見下ろして
一応の満足をみる
おお哀れなロバよ!
私はお前に同情する!
あまりに健気なお前の姿に
私は心から涙を流そう!

渇いたロバ

自己憐憫のメタモルフォーゼ

渇いたロバ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-16

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