残影
夏と冬
冬の寒さが体に染み込む。彼の視界いっぱいに空と雪で埋もれている。ふんわりと感じる体は身動きが出来ない。でも不思議と、動かそうなんて考えなかった。ただ揺れるゆりかごに任せて、ゆっくりとたゆたう時間の流れに。それは永久の出来事ではないとも知らずに
彼が17歳の夏を迎えたときに、彼女と出会った。一ノ瀬桃夏(いちのせももか)、俺がバスケ部に対し、彼女は帰宅部でクラスも別で、正直、高校一年の時にこんなやついたかどうかさえ確かではなかった。何故出会えたかというと、俺は成績がよろしくなく、補習を言い渡されていた。何科目かはあえて言わないが、その補習で彼女と出会った。
キッカケなんて大したことはない。よくは覚えてないけど、消しゴムを拾ってくれたとかそんなのだったと思う。補習が終わることには、楽しく話せるくらいの仲にはなっていた。
「ワリぃ、俺このあと部活なんだ」
「あ、そうなんだ。何の部活をしてるの?」
「俺はバスケ部、これでもレギュラーはってんだぜ?」
「れぎゅらー?うん、凄いのね!」
絶対分かってないのだろうけどあえて触れなかった。それよりも、思春期真っ只中の俺にとって可愛い女の子に出会えたことが嬉しくてふわっとしてた。
変にギャルっぽく着飾ってなくて、それでいて地味でもなく、、、。まぁ、極端に普通といってしまえば聞こえは悪いけど。ほんのり想像してくれればそれでいい。
そして俺の初恋となる相手だ
残影