屋上の指揮者

千草はそっとベットを抜け出した

千草はそっとベットを抜け出した。朝の5時。お父さんもお母さんもまだ眠っている。昨日の天気予報で、今朝は雪になると言っていたのだ。
はやる気持ちをおさえ、マンションの階段を駆け上がる。屋上の扉をあけると、柔らかな雪が鼻先に落ちてきた。「雪だ!」そう歓声をあげて、落下防止のフェンスまで走りよる。
見渡す町は一面、積もった雪で真っ白だった。静かな空にしんしんと降る雪の音だけが響く。雪が降ったら、一度だけやってみたかったこと。千草はすうっと息を吸い込むと大きな声で号令をかけた。
「白は、とまれ!!」
耳を澄ます。積もる雪の中で眠る町は、寝息さえたてない。満足気に見下ろす千草の前で、吐いた息が行くあてなく停止していた。


++超能力者++
大島千草(おおしま・ちぐさ)
ESP:指定した色を号令のとおりに動かす

屋上の指揮者

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屋上の指揮者

1分で読めます。「話の中に必ず超能力者がひとりは出てくる」というしばりで掌編の連作を執筆中。 超能力者の名前と能力が必ず最後に記載されてますので、答え合わせ感覚で読んでいただければ幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-30

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