明日を恐れなくなったなら

私は、どうしようもなく明日が恐かった。

明日になったらなにかが変わってしまうんじゃないか。
なにもかもが無くなってしまうんじゃないか。
「現実」が夢なんじゃないだろうか。
………なんて。
実際に起こったことは無いのだけれど。いやもしかしたら私が気づいていないだけかもしれない。


「変化」が起こるのは悪いことじゃない。だがすべてがプラスに働くとも限らない。
それはひとによってプラスもマイナスをも与えるだろう。
良い意味でも悪い意味でも変わっていくのが人間なのだから。
それでも、変化を受け入れることは苦手だ。何においても。 
人間関係。勉強。部活。日常。自分。
変わることには、恐怖が付き纏ってくるのだ。
物事の大きさにもよるが、少なくとも私はそう感じている。



私は、常に人の目を気にしたり、人に嫌われていないかとかを異常なほどに気にする。
体面を取り繕うのに必死だ。…自分でもそんな自分が大っ嫌いでそういうことを考えるたびに自己嫌悪に陥る。
誰かに嫌われるのを怖がって、虐げられるのを恐れて、いじめを見過ごしてしまったことだってある。
「自分は反抗することのできる英雄なんかになれるわけがない。」
ただの言い訳にすぎない。自分の身が可愛くて、自分を護ることに必死なのだ。
言いたいことも言えずに、なんて自分は最悪な奴なのだろうと何度思ったことか。
だから変化することが苦手なのだろうか。反抗することは変わろうとするということだ。
…きっとそうなのだろう。
私はこんな自分がとてつもなく嫌で仕方がないけれど、変われない。
…やっぱり怖いんだ。
剥き出しの悪意に晒されることが。
罵倒の言葉をぶつけられることが。
憐みの視線を浴びせられることが。
見下されることが。
嘲笑されることが。
否定されることが。
馬鹿にされることが。
本当の自分を見られることが。
失望されることが。
弱虫で、醜悪で、卑怯で、泣き虫で、なにより臆病な自分を。
そして変わることが。
怖くて、泣き叫びたくて、逃げ出したくて、すべてを放り投げだしたくて、なによりそんな自分が悔しくて、たまらないんだ。

でも変わらないとどうにもならない。
変われなくても。自分を認めることができるように。
強くなれるように。

少しずつで良い。変わってもすべてが変わるわけじゃないと、変わらないものがあると認められるように。
醜くても、泣き虫でも、臆病でも、卑怯でも。
変われなくても、何かをすることで、一歩進めたなら。
それは変化を恐れなくなったということだから。
きっと変わる事が出来るようになるということだから。

明日を恐れなくなったなら。
きっと私は、前へ進める。

明日を恐れなくなったなら

初めまして、楠と申します。小説を書くのも初めてで、今回が処女作にあたります。お見苦しい点も沢山あったと思いますが、これから精進していきたいと思います。ご拝読いただき、ありがとうございました!

明日を恐れなくなったなら

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-28

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