開闢
お山の上からひとり、天のお使いが世界をみております
それは希望の時、復活の時、はじまりの時
永らく暗闇に閉ざされていたこの世界は
赤子が眠りから目覚めるように
病魔の影を微塵も連れることなしに
健やかに再び開こうとしております
孤独に冷えた霧が朝露をもたらし
白く輝く靄の中から
踏み出す一歩は、その力強さは、
きっとどんなものにも代え難いのです
纏うもの、飾るものなにもなくてよいのです
寧ろ、それがうつくしいのでした
そういううつくしさは涙を呼び
春風と粉雪とを一緒くたにして
いま、喜びの風がふいております
うつくしさとはなんなのでしょう
ただ、喜びの風がふいております
開闢