深海

海に溺れる、小さな女の子のお話。

じりじりと肌を焼き付けるように眩しかった太陽は、いつしか遠く、高く、もう届かない。
いつから沈み始めていたのか、はたまた最初から海の中で生きていたのか。そんなこともわからないくらいに、ただひたすらに、暗い底へ堕ちていくの。

ーーー最後に息が出来ていたのは、いつだっけ。

疲れてるのか、考え事に頭が追い付いていないのか、もしかしたら眠いだけなのかも。なんにせよどうも弱っているらしい。不安になって、悲しくなって、息が、出来なくなる。
だいすきな人が離れていってしまうのが怖くて、寂しくなって、なにも考えられなくて、手を伸ばしてみても、横にいたはずのあの人はどうしてか、届かない。太陽の光すら届かないくらいの深い海で、無様にもがいているだけだ。まだ、行かないで。そう願うのに。あの人は前を向いて、どんどん、どんどん、先へ行ってしまうの。お願いだから。ねえ。置いていかないでよ。私を、ひとりにしないでよ。怖いの。まだ一人じゃ立てないの。あなたが傍にいたから笑っていられたの。待って。待ってってば。そうやってひたすらに手を伸ばすのに、手から、指から、海さえも捕まえられずに通りすぎていく。頬を撫でるのは黒い海か、涙なのか。

頭を無理やり叩かれているような感覚になりながら、音の正体に手を伸ばす。
ーーー夢、か。
頭がいたい。目も開けたくない。動きたくないの。今だけでいいから、おいてけぼりにしていいから、私をもう一度寝かせてください。なんて。言えないなって、今日も深いため息をつきながら寝癖でぼさぼさの髪に指を引っ掻けてみる。

仕事に、行かなくちゃ、いけないのに。

やらなきゃいけないことも、やりたいことも、たくさんあるの。たくさんあるはず。なのに。どうして私は動けないんだろう。たくさんたくさん考えて、真っ暗だと思っていた空は気付けばいつも新しい一日の支度を始めている。答えなんて出るはずもなくて、時たま瞳から数粒の宝石を溢すんだ。憎らしいほど透き通ってて、落ちた途端に割れてじわじわと広がっていく、宝石。今までいくつ壊したのだろう。どうしてこんなにぐちゃぐちゃなのに、この宝石だけはいつもこんなにも透明なんだろう。そんなことを考えていたら、ほら。また息がしづらくなるだけってわかっているのに。

私が頑張れば全てがいい方向に向かうことなんてわかってる。わかってるけど、出来ないの。苦しいの。助けてなんて言わない。だからせめて、今だけは、なにも言わないでください。いつかまた、少しずつ息ができるようになったら。ちゃんと、前を向くから。

深海

最後雑に終わらせてしまってすみません。
吐き出したいことを、吐き出したいままに書いてみたらどうにも書ききれなくなってしまいました。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

深海

息が出来なくなったのは、いつからだろう

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-22

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