誰かの事件

SPI犯罪対策本部がかねてより調査中の

SPI犯罪対策本部がかねてより調査中の記憶操作事案につき、平成24年11月7日 警視庁猪又警察署において、本職はあらかじめ被疑者に対し、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した。

1 私は、2001年3月ころより本年9月にかけて、関東圏内において、複数の人物に対して自らの超能力である「記憶操作」を用いて誤りの記憶を植え付け、相手の人に不都合な状況・なんらかの不利益を与えてしまったことで取調べを受けているものです。
 私の身上関係については、先ほどお話したとおり間違いありません(別紙参照)。これより、事件の概要についてお話します。

2 はじめの犯行となる2001年3月の以前からわたしは自らの超能力について気づいてはおりましたものの、決して犯罪行為にだけは使用をしないよう心がけておりました。しかし、経済的困難に追い込まれた結果、超能力を使用することで不当な利益を得ることに思い至ってしまったのです。以降、何度かの場面において相手の記憶を書き換えることで、ありもしない借金の返済をさせるなどの行為を行いました。
また、自らにとって不都合にあたる人物には呼吸方法の記憶を操作し死に至らしめるなどの行為も行いました(各事件の詳細については別途資料参照のこと)。

3 今回の事件は、超人的な能力を有しておきながらそれを平和利用することの出来ない私の心の醜さにより起きたものと理解しております。以後、この能力を使用することは決してないとお約束いたします。と申しますのも、今回罪を償うため自首をしようと思い至った際に、記憶操作の能力について一切の使用方法を忘れてしまったのであります。したがって私の意思いかんに関わらず、以後能力を使用することは不可能となりました。しかしながら罪を犯してしまったことは紛れもない事実でございますため、厳重なる処罰をご検討のほどお願いします。

氏名 内田久司(うちだ ひさし)

以上の通り録取して閲覧させたところ誤りのないことを申し立て署名指印した。



複数の人物による全く同じ内容の供述が、今月に入って20件以上も記録されている。
少なくとも記憶操作の超能力を持ったやつが存在する、ということだけは確かなようだ。


++超能力者++
真犯人
ESP:相手の記憶を書き換える

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2分で読めます。「話の中に必ず超能力者がひとりは出てくる」というしばりで掌編の連作を執筆中。 超能力者の名前と能力が必ず最後に記載されてますので、答え合わせ感覚で読んでいただければ幸いです。

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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-19

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