花火

花火

今年最初の花火は悪天候だった。
折角休みを合わせたのに当日の昼前あたりに中止に決定。
大規模なものの中では後の方のものであったため来年送りになりそうであったが小規模なものならと都心を外れたところの祭りに出向くことになった。
二度目の今回の出で立ちは至って私服。
浴衣は前回堪能したので今回は見送り。
目につくような明るい色合いで自分自身が夏を表すかのような色合いだ。
私は夏が好きだ。
一番色が溢れている季節だと思う。
純粋に綺麗だし個性的でいい。

待ち合わせの駅に着いたのも前回とほぼ同時刻。
しまった、とまず思う。
改札出口が二箇所あった。
待ち合わせは改札前、とだけ指定されていたのでどちらか慌てふためく。
このご時世に連絡手段がないのはやはり辛いと文明の利器のありがたみを知った。
改札内を行き来していると後ろから聞き慣れた声がした。
どうやら相手も今さっき着いたようで嬉しい誤算である。

それから夏を目いっぱい楽しんだ。
かき氷を食べ、町並みを歩き、辺りが暗くなるのを待つ。
花火の予定時刻に合わせて少し遅めに会場の公園へ。
町の祭りということで地元の祭りと同程度のものを想定していたが割と大規模なものとなっていたようでもう少し早めに来てもよかったと二人して後悔。
兎に角広くちょっとした広さのステージを中心に出店が所狭しと並んでいた。
先に夕飯は済ませてきたのでほとんど見て回っただけ。
大半が酒を片手にした大人たちで連れて来られたのであろうその子供らは近くの別の子らと駆け回っている。
ここにはこの町の活気が集まっている。
いい町だ、と思う。
そしてそんな暑さの中期待通りの花火があがる。
花火の打ち上げとともに歓声があがる。
そしてもうすぐ夏も終わる。
派手な分だけ去り際に寂しさを感じるのも夏を好む理由のひとつだ。
また来よう。
次は違う花火かもしれないし縁があればまた同じ花火を見ることになるかも知れない。
どんなに感じる夏が変わっても一緒に見る人だけはきっといつまでも変わらない。
夏はまたやってくる。

花火

出不精の筆者の珍しい遠出の思い出話。
試作なので何か明記しようというより夏っぽさが感じ取れれば、と。

花火

今年二度目の花火。 暖かい町の空気。 夏の終わり。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-17

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