素描2「ノート」
それは平面的には四角であることが多い。
手の甲ほどの厚みを持つものをよく見るが、
その厚みによって市場価格はある程度予想できる。
握りこぶしで隠れる大きさのものから、
広げれば台所のシンクを覆い隠す大きさのものも売られている。
開けば白色系であることは前提に近いが、
これは書くことが要請するというよりも、
鉛筆、ペン類に白色のものが稀であることが主因であると推定できる。
白色の面には極色の薄い色、例えば紺や茶色などで線を引かれている。
その線に従って字を書いてもいいし、絵を書いてもいいし、また破ってもいい。
引かれていないものを好む人も多い。
手紙を書いて人を喜ばせたり、破いて紙飛行機を折ってもいい。
試しに私は口に含んでみたが、想像以上に水分に対して抵抗してみせた。
紙にしては、という限定付きではあるが。
素描2「ノート」