寄り道。

寄り道。

「んっ、ぅ…ふあ、んんっ…っ」
「声、抑えて」
 そんなこと言われても、こんなに突き上げられたら、ジェットのが僕の敏感なところを刺激しまくるから、我慢なんかできない。
 でも。
「あ、ほら、入ってきた」
 ジェットが声を潜めて耳元で囁く。
 そんなことされたら、ジェットの息が耳をくすぐって、ますます感じちゃうのに。
 人の乗り降りの少ない駅の構内にある公衆トイレ。
 乗り降りする人が少ないっていっても、ゼロじゃない。利用する人だってたまにはいる。
 足音と話し声。
 ドアの外に複数の人の気配。
 この薄い板1枚の外に何人かの知らない人がいることに、緊張する。
 その人たちからほんの少ししか離れていない個室の中で、半裸の僕はジェットに抱かれて悶えている。
 バレたらどうしようって僕はすごいびくびくしてるのに、ジェットってば僕の腰を抱えて揺さぶるのをやめようとしないから、手で塞いでも声を抑えきれない。
 耐え切れなくなって、僕はジェットの首に抱きついて、唇を押し付けた。
 すぐに舌が絡めとられる。
 物理的に唇を塞がれたら声は出ないかと思ったのに、上も下も深く犯されて、喉の奥から声が漏れそうになる。
 僕はもうジェットの首を絞める勢いでしがみついた。



 平日の、昼間。
 都心ではなくちょっとはずれた、窓の外にのどかな風景の広がる線路を走る電車。
 普通に考えたら混まないような電車で、遠足だか社会見学だか知らないけど、学生集団が乗り込んできて、余裕があったはずの車内が一気に寿司詰め状態になった。
 ドア近くに立っていた僕らはその集団に押されてドア前に追い詰められ、押しつぶされる寸前にジェットが僕の身体の両脇に手をついて踏ん張って、身体全体でガードしてくれた。
 いや、押しつぶされたってどうということはないけど、やっぱり知らない人と密着して身動き取れないのは嫌だし、嬉しかった。
 ……んだけど、その…ジェットも手を突っ張って頑張ってくれてるとはいえ場所にあんまり余裕も無くて、……目の前、ホント至近距離にジェットの顔がある状態で、何か喋るたびにジェットの息がかかるし、実質ほぼ身動き取れない状態は変わらないし……なんか変に意識しちゃってどきどきしてしまった。
 なにか話すたびに動く、唇。
 キスするときとか……ベッドの中とかでないと、こんな近くでこんなに長く見ることなんかなくて。
 口を開くと赤い舌がちらりと見えて。
 僕より薄い、赤みの少ない乾いた唇。キスをして、舐めたりしたら柔らかくなって少し赤くなる、ジェットの唇。
 それがずっとすぐそばにあるから目が離せない。
 心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかって心配になるくらい鼓動が激しくなってるのに、ジェットってばなんにも気にしてないみたいに「結構混んできやがったな」とか、もう言わなくても判るよそんなこと、って言いたくなるようなこととかいっぱい喋りかけてくる。
 こっちはどんどん顔も熱くなってくるしもうどうしたらいいのかと思ってたら、唇が当たるくらいに耳に顔を近づけて、ジェットが言った。
「何お前、感じてんの」
 ――泣きそうになった。
 こんなところで、こんな状況で、それでも身体が反応してるとかって、なんなの僕。 
 恥ずかしくって、自分が嫌になる。
「放っといてよ」
「そりゃ無理だ」
 ジェットの顔が近づいてくる。
 僕はドアを背にしてジェットの両手に挟まれているから逃げることも避けることもできなくて。
 唇が、塞がれた。
 柔らかく、食むようにしてキスされる。
 周りの人に見られたらどうするの。
 そう思うのに、どうにもできなくて。
 僕の両脇について突っ張っていたジェットの手がいつの間にか肘に代わってて、身体同士が触れるか触れないかくらいに近づいている。
 ジェットの腕の中に閉じ込められて、キスされて。
 これで平気でなんていられるわけなくて。
 片手で僕の頭を抱えるような姿勢で体勢をキープして、もう片方の手で僕の身体を撫で下ろす。
 まずい。それ以上ジェットの手が下に行ったら……と思った時にはもう、その手は僕の脚の間に辿り着いていた。
 さわ…と撫でられる。
 キスされたままで僕は身体をびくんと震わせる。
 思わず、ジェットの服の裾を掴んでしまった。
 ゆるゆると、ジェットの手が撫で擦る。
 分厚いデニムの生地を隔てているのに、その大きな手の感触もぬくもりも変に生々しく感じられて、僕自身もどんどん熱くなる。
 周り中に人がいるのに、こんな電車の中なのに、身体はすっかり熱を持って夢中でジェットを求めてキスをする。
 と、突然触られている感触が変わって、うっとりと閉じていた目を驚いて見開く。
 キスに夢中になっている間に前を開けられていたらしく、ジェットの手が僕の下着の中にまで入って、直接撫で擦っている。
 こんな電車の中なのに!
 さすがにもうキスしている場合じゃない。
 僕に触れているジェットの手を掴んで離そうとするけど離せない。
 胸を押して身体ごと離そうとしたけれど、僕らが一回密着したせいで他の乗客の立ち位置が変わって、もう身体を離すだけのスペースが空いてない。
 他の人たちの注意を引いてしまわない程度にジェットの胸を叩いて抗議する。
 でも全然離してくれなくて……緩やかとはいえ直接下半身に与えられる刺激としつこいくらいに濃厚なキスで、もう、どうにかなっちゃいそう。
 たすけて。
 そう、言いたくて、でも言えなくて震える。
 と、電車の速度が急激に落ちて、駅に到着する。
 背に違和感。
 扉が開く、と焦った瞬間に唇と手が僕から離れて、ジェットに抱きかかえられるようにして電車を降りた。
 幸い着ていたパーカーのおかげで、だらしなく開けられたジーンズは他の人には見えない。
 それ以前に駅で待っている人も、電車から降りる人もほとんどいなかったけど。
「……ジェット」
 知らない、駅。
 それなのにジェットは僕の肩を抱いてずんずん歩いて行く。
 改札とは違う方向な気がして、何処に連れて行かれるのかと不安に陥る。
「ねぇ、ジェット」
「あ、こっち」
 不意に、曲がる。
 辿り着いた先は、お手洗い。
 ジェットは脚を止めることなく男子トイレに入っていく。
 まあ、さすがに服を直さないと外には出られないしと納得しておとなしく連れられていく。
 ふたりで個室に入って鍵をかけて、ほっと一息。
「もう、ジェットってばあんなところで……」
「だよな。お前があんまり可愛い顔してたからつい、さ」
「つい、じゃないよ、もう――って、え?」
 ファスナーを上げようとした手をジェットに掴まれて、驚いて顔を見る。
「だからさ。ここなら人もまず来なさそうだし、ちゃんとイかせてやれるからよ」
 言って、下着ごとジーンズを下ろすと、さっき散々撫で擦られて勃ち上がってしまっている僕自身を、ジェットはべろりと舐めた。
「ちょ、待っ……ジェット! やだ、やめてよっ」
「安心しな。服汚したりしないように、全部飲んでやるから」
 逃げようとしたのに、個室の壁にもたれた状態でがっちり腰を押さえられて動けない。
「嫌、ジェットっ!」
「あんまり大きな声を出すと、駅の人が来ちまうぜ?」
 言われて慌てて声を潜める。
「嫌だ、ねぇ、やめてジェット」
「このまま我慢なんて出来ないくせに」
「そんなこと――あっ!」
 なんとかやめさせようとしたけど、口に含まれて、言葉が続けられなくなる。
 じゅ、じゅぷと音を立てて、ジェットの頭が動き始める。
「あ……や、やめ…っ、ぅ…あん……っ」
 もうとっくに感じさせられて熱くなっているのに、我慢なんて出来るはずなくて。
 限界がすぐに来て、訴える。
「だめ……も、いく……出ちゃう…ぅ……っ」
 手が添えられて指での愛撫を加えられつつ、きゅうっと吸い上げられて、身体を震わせる。
「――あ、うっ……ん…ふ、うっ……」
 どくん、どくんと脈打つようにジェットの口に吐き出して。
 ごくりとジェットの喉が鳴る。
 残滓も全て出し切るように吸い上げられて、快感に震える。
「……ジェッ…ト……」
 思わずジェットにしがみつく。
 脚から力が抜けちゃって。
 立ち上がったジェットは僕を抱きとめて、耳元で囁いた。
「悪りぃ。お前をいかせるだけでやめとこうとは思ってたんだけど、我慢できなくなっちまった」
「――え、ええっ? まさか、ここで…」
 狼狽えている僕を抱きしめて、片手で僕の股間を弄る。
「…ひ……っ…」
 どろりと濡れた指が僕の後ろを探り出す。
「やだ、嫌……お願いジェット」
 制止の声は届かず、ジェットの指が侵入してくる。
「んあ……っ……ダメ…っ」
 ぐりぐりと動かされて、声が漏れる。
「なんだ、こっちも蕩けかけてんじゃん」
「そんなはず…ない…っ…」
「欲しくてひくひくさせてたんだろ」
「ちが……――うぁ、あんっ」
 ずぶずぶと、ジェットの指が動き出す。
 もう僕は制止どころじゃなくて、必死でジェットにしがみつく。
「ひや…あっ…ジェット…ぉ……」
 声に甘えるような色が加わっていくのを止められない。
「ほら……もう、挿れてやるから」
 一度、深く突いてきた指を引き抜いて、ジェットが便座に座る。
 腕をひかれて、僕は脚に纏わりついているジーンズと下着を脱ぎ捨てて、ジェットの膝の上に跨った。
 ……だって、もう我慢なんて出来ない。
 ジェットが前をくつろげる。
 途端に現れる、欲望を示して凶悪にそそり立つ、もの。
 ジェットの。
 思わずごくりと口内に溜まった唾を飲み込む。
「ほら」
 引き寄せられて、口づける。
 ジェットにしがみついて、舌を絡める。
 腰を掴んだ手に導かれて、自分からその上に腰を下ろしていく。
 さっき解されたところをこじ開けるようにして侵入してくる、熱い塊。
「――んんっ…」
 耐え切れず、声が漏れる。
 脚の力を少しでも抜くと、突き破られそうな恐怖を感じて、ジェットにしがみついた腕と脚に力を込めて、ゆっくりと腰を下ろしていく。
 と、急にジェットが突き上げるように腰を動かして、一気に深く埋め込まれた。
 身体が反って唇が離れ、解放された口から悲鳴があがる。
「あ、あああああっ!」
 衝撃に脚の力が抜けて、自重で奥まで銜え込まされる。
「ひ…く……う、んっ……」
「自分で動けるか?」
「わ、わかんな…あんっ」
 腰を動かされ、同時に突き上げられて、声を上げる。
「ああ、いい声上げるな……けど、ちょっと控えめにしてくれ」
「え、な、何?」
 ジェットが動きを止めた合間になんとか少し息を治めて、耳を顰める。
 外に微かな人の話し声。こっちに向かってきている。
「え、嘘、誰か来た?」
「みたいだな」
「や、やだやだ、こんなのもし見つかったら……」
「だから、あんまり声あげんなよ」
 下ろしていた脚を持ち上げられて、さらにぐいと突き入れられる。
「あっ、やっ、こんな、無理っ…」
 揺さぶられて、与えられる激しい快感に声を上げる。
 人が、来ちゃうのに。
「んっ、ぅ…ふあ、んんっ…っ」
「声、抑えて」
 そんなこと言われても、こんなに突き上げられたら、ジェットのが僕の敏感なところを刺激しまくるから、我慢なんかできない。
 でも。
「あ、ほら、入ってきた」
 ジェットが声を潜めて耳元で囁く。
 そんなことされたら、ジェットの息が耳をくすぐって、ますます感じちゃうのに。
 足音と話し声。
 ドアの外に複数の人の気配。
 この薄い板1枚の外に何人かの知らない人がいることに、緊張する。
 その人たちからほんの少ししか離れていない個室の中で、半裸の僕はジェットに抱かれて悶えている。
 バレたらどうしようって僕はすごいびくびくしてるのに、ジェットってば僕の腰を抱えて揺さぶるのをやめようとしないから、手で塞いでも声を抑えきれない。
 耐え切れなくなって、僕はジェットの首に抱きついて、唇を押し付けた。
 すぐに舌が絡めとられる。
 物理的に唇を塞がれたら声は出ないかと思ったのに、上も下も深く犯されて、喉の奥から声が漏れそうになる。
 僕はもうジェットの首を絞める勢いでしがみついた。
 突き上げられて、快感に溺れそうになるのを必死でこらえて、声を噛み殺す。
 気持ち良すぎて辛すぎて、涙が零れた。
 揺さぶられて貫かれて、ぼろぼろと泣きながらジェットにしがみついて耐える。
 もう、無理。これ以上我慢なんかできない。
 限界だと思ったとき、ようやく外の人達が出ていく気配がした。
 あと少し。
 あの人たちがここからもう少し離れてくれさえすれば。
 その間だけ耐えられたらなんとかなる。
 だから、早く立ち去って。
 ジェットの服を握りしめた手が震える。
 お願い、早く、どっかに行って!
 ドアが開いて、閉まる音。
 去っていく足音と話し声。
 完全に気配がなくなっても、念のためもうしばらく待ってみて。
 もう大丈夫。そう思ってやっと唇を離した。
 恨みを込めてジェットを睨みあげる。
「……ひどい。僕がもう限界なの判ってて」
 ぼろっぼろに零れた涙を唇で掬い取るようにしながら、ジェットが嬉しそうに笑う。
「だって、必死で我慢してるお前めちゃめちゃ可愛いから。それに、お前のほうからこんなに情熱的にキスしてくれること滅多にないし」
「それはっ…」
「愛してる」
「――!」
 いきなりの直球な言葉に、言おうとした文句が消え去る。
 ジェットは、ずるい。
 そんなこと言われたら。
「……ばか」
「お前は? 言ってくれねぇの?」
「――ぁあっ」
 ずく、と突き上げられて、また声を上げてジェットに縋り付く。
 腰を掴まれて動きを再開されて、もう声を抑える余裕なんて無くて。
「あっ、あぁっ、……っ、――ひぃ…あ、あああっ」
「なあ…言ってくれよ。ジョー」
 じゅぷ、じゅぷと濡れた音の合間にからからと違う音が聞こえる。
 何の音? って頭のどこかで考えてる気がするけど、ああもうそんなことどうでもよくて。
「愛してる。ずっと、お前だけが好きだから」
 ジェットの声が呪文みたいに染み込んできて、背中がぞくぞくする。
「あ、あんっ、いぃ……あっ、ジェッ…ト……っ」
 必死ですがり付いているのに振り落とされそうで、頭を振る。
「愛してる。愛してる――なあ、言ってくれよ」
「あ、愛して……ぅああっ、あっ、あっ――や、も、無理、いかせてえっ…」
 よすぎて、苦しくて、悲鳴を上げる。
「言って」
 タスケテ、タスケテ、モウカイホウシテ。
「あ、アイシテ…ル……っ」
「――ありがとう」
 激しく動かされて、耐え切れずに悲鳴を上げる。
「ひあ、あああああああっっ」
 全身に電流が走ったかのように快感が走りぬけ、弾けるように一気に欲を吐き出す。
「―――愛しているよ」
 その言葉と一緒に強く抱きしめられて、身体の中に熱を感じながら僕はその快感に意識を吹っ飛ばされた。



 柔らかく、髪を撫でられている。
 頬に触れている暖かさが気持ちいい。
「……ん…」
「気がついたか?」
 耳元で声が聞こえて、驚いて顔を上げる。
 ジェットの腕の中。
 僕はジェットの膝の上に横向きに座って、抱きかかえられていた。
 ちゃんと服も元の通りに着ていて、汚れたりもしていない。
「……あれ? 僕……?」
 一瞬さっきのは夢だったかなと思いかけたけど、今いる場所が駅のトイレの個室だと認識して、現実だったことを知らされた。
「悪りィ。キツかったか?」
 さらりと髪を撫でられて、気持ちよくてジェットの肩に頭を凭れさせる。
「ん……。ちょっとね」
 頬を摺り寄せてジェットのぬくもりを充分に感じる。
 さらさらと、髪を撫でてくれる感触をもっと味わっていたいんだけど。
 ばちん。
「うおっ?」
 ジェットの頬をひっぱたく。
「嫌だって言ったのにっ」
 ぎっと、睨みつけてみる。
 まあもっとも、トイレの便座の上で膝に抱っこされた状態じゃあ、睨みに迫力なんてないとは思うけど。
「あ、いやその、悪かった」
 途端に狼狽えだすジェットが可愛い。
 でもそう思ったことは顔に出さずに頑張って睨み続ける。
「で、でもさ、良かったろ?」
 は?
「ほら、ばれちゃうかもってどきどきとか緊張感とかでいつもより興奮して感じたろ?」
 ……それは、ちょっとはあったかもしれないけど――認めない。
 そんなの認めたら、僕がこんなところで抱かれたの喜んでたみたいじゃないか。
 だからぜええええったい、認めない。
「そんなこと、ない」
 力を込めて、言う。
「で、でもお前すげえよがって…」
「ない! ぜったいに、ない!」
「けど……」
「まだ言う?」
 むぎゅっとジェットのほっぺたを引っ張る。
 ジェットはちょっと不満そうな顔をして口をつぐんだ。
「……ごめん」
「もう絶対こんな……家の外でなんか嫌だからねっ」
「判った。……けど、あんな顔されたらさ…」
「何?」
「なんでもありません。もうしません」
「よろしい」
 さっきつねった頬を撫でてから、ぎゅっと抱きつく。
「……ジョー」
「ね、もう出よ。早く行かないと時間なくなっちゃう」
「そうだな」
 ふたりで出かける途中だったのに、とんだ寄り道。
 いつまでもトイレに籠っているのも、ねぇ?
 外に人がいないか気配を探ってから、そっと出る。
「次の電車、すぐ来るかなあ」
「本数少なそうだからな」
 なんか結構長時間いたから、駅の人にばれてるんじゃないかと思うと恥ずかしくって、早く移動したい。
 時刻表を確認して、そう待たずに乗れそうだとホームに立つ。
 周りに誰も見当たらないから、ジェットの手を握ってみた。
 ジェットが驚いた顔をして僕を見る。
「人が来たり電車が来たら、離すからね」
「あ、ああ」
 ぎゅっと、握り返される力強さが嬉しい。
「……いつか、空の散歩に連れて行ってほしいなあ」
 ふと、思いついたことを呟いてみる。
 別に返事を期待してたわけじゃなくて、なんとなく今思っただけなんだけど。
 けど、ジェットはすぐに返事をしてくれた。
「それくらい、いつでも連れてってやる。なんなら今日でも、夜空の散歩と洒落込んでみるか?」
「いいの? ――その、そんな私用に力使ったりとかして博士に怒られたりしない?」
「別にこれくらいどってことねーだろ? 人に迷惑かけるわけでもなし。お前堅苦しく考えすぎなんだよ。――それに」
 ジェットの顔が近づく。
「お前が望むなら、俺はなんでもする。他の奴らがどう言おうが関係ねぇ」
「……ジェット」
 迷い無く、そう言い切ってくれるジェットの言葉が嬉しくて。
 ジェットの顔が、近づく。
 僕は慌てて目だけで周りを見回して、誰もいないことを確認すると目を閉じた。
 唇が、触れ合う。
 誰もいない駅のホーム。
 僕らは長い長いキスをした。

寄り道。

前に星野雪がtwitterで描いたらくがきまんが(描きなおして「HAPPY DAYS」に収録)からの派生。
雪とこのジェットが手を出さなかったので、手を出しちゃったぞバージョン書いてもいい?ということで許可もらって書いたもの。
29いちゃいちゃでR-18.

寄り道。

サイボーグ009二次。 腐向け。平29。

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-09-17

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted