【時遣いの住む世界の理】絶望にチャンスを与える者

ツイッターで募集した「リプしてくれたフォロワーさんを自分の世界観でキャラ化する」の小説もどき化。
過去に書いた小説の世界にフォロワーさんに住んでもらいました。

絶望にチャンスを与える者

『世界』には複数の世界が存在し、どれも平行世界として交わることはない。
『世界の管理者』という神様のような存在が観察し、少しだけ微調整をするという。
時遣いは『世界の管理者』から命じられ、『世界』を行き来することを許されている。
『世界の管理者』が決めた絶望した者に最大三回だけ好きな所からやり直すチャンスを与える。
これも微調整の一つだという。

時遣いは時の塔と呼ばれる塔に住んでいる。
使命があったときだけ『世界』を行き来し、時を操りに行く。
「眼」
眼(まなこ)は廊下で上司である黒江(くろえ)に呼び止められた。
眼はお客様満足度の高い時遣いである。
ルールに則りつつ、かつお客様である絶望した者を満足させる。
「なんでしょ、黒江さん」
「次の仕事だ。仕事といっても、悪いな…優樹菜の回収を頼む」
黒江は少しため息交じりに地図を眼に渡した。
時遣いが迷子になる案件はよくある。
時間と『世界』を飛び越えることになるので、時の塔に帰ってこれなくなることもある。
特に眼の同僚である優樹菜は迷子になる確率が高い。
「了解。連れて帰ってきたらいつも通り黒江さんの部屋に行けばいいの?」
「…ああ、頼む」
お説教の時間である。
時の塔では時を操る魔法を使うことはできないので、説教の時間を短くすることはできない。

眼は自分の部屋に戻った。
時を操る魔法の軸となる杖と制服であるマントと帽子。
迷子防止のブレスレットを付ける。
何かがあってもこのブレスレットを道標に時の塔に帰ってこれる。
(優樹菜はブレスレットの破損率が高すぎるよ)
いつものことであるため、眼も察しがついていた。
予備のブレスレットをポシェットに入れ、眼は時の塔をでた。
他の時遣いが使命のために空に飛んでいく。
時の塔から空に飛びだせば別の『世界』へとつながる。
優樹菜のブレスレットが最後に信号を発した位置へと向かう。
目的地は『死神のいる世界』である。
科学世界で『世界の管理者』から命じられた『死神』という存在が魂を導くのだという。
科学世界の中では一番戦闘となる可能性が高い『世界』だ。
眼がその『世界』に降り立つと、時刻は夜だった。
静かな公園。大きな土管が2つ並び、ブランコや砂場がある。
昼間には子供たちの笑い声が響いたのであろうが、今は虫の鳴く声と木々の揺らめく音しか聞こえない。
「優樹菜ー」
返事はない。
ブレスレット無しに他の『世界』へ飛び出すことは危険しかないため、この『世界』にいるのは間違いないだろう。
眼は周囲を探すことにした。
垣根の中、公園のトイレにはいなかった。
土管の中を覗く。
「あ」
「まなこぉ…」
今にも死に絶えそうな声を上げる同僚がいた。
眼は引きずり出すように優樹菜を土管から出した。
制服であるマントと帽子はボロボロになっていた。
何かで切られたような跡がある。
「どうしたの?」
「この『世界』のさー…なんだっけ、悪霊?とか言うのにやられてさー…」
ぐったりとした優樹菜を支えるように肩をかした。
すぐさま戻ろうと空を見上げた。
ふと、背後に気配を感じた。
眼が振り返るとそこには青白い光に包まれたナイフをもった男が経っていた。
優樹菜が小さく悲鳴をあげて眼の服を掴んだ。
男は奇声をあげながら、走りながらナイフを振りかざし眼たちに向かってきた。
「いやあ、眼!」
優樹菜の声にハッとした眼は杖を取り、振り上げた。
男の動きが止まった。
男だけではない、虫の声も木々の揺らめく音も、ブランコの揺れもすべてが止まっている。
眼が時を止めたのだ。
「行こう、この『世界』の理はこの『世界』の人に任せよう」
眼が空を見上げた。優樹菜もつられて空を見上げる。
月が輝く方角から人影が見えた。
大きな鎌を持った人。おそらくこの男をめがけてきているのだろう。
「帰ろう、時の塔へ。この『世界』での仕事は済んだでしょ」
優樹菜は頷き、二人は空へと飛びだした。
飛び出す手前で停止を解除し、大きな鎌を持った人が男と対峙したのを横目に眼たちは時の塔へと戻った。

この後、必要以上に他の『世界』と関わったこと、自己防衛のためとはいえ時を無断で止めたことなど始末書をかくことになった。

【時遣いの住む世界の理】絶望にチャンスを与える者

こんな感じの設定でした。
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絶望にチャンスを与える者。
時を操る。
使命のために『世界』を行き来することを許されている。
『世界の管理者』が決めた絶望した者に最大三回だけ好きな所からやり直すチャンスを与える。
お客様満足度の高い仕事をする優秀な時遣い。
時折迷子になった同僚を助けにいく。

【時遣いの住む世界の理】絶望にチャンスを与える者

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-16

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