可哀そうな男


可哀そうな男は



可哀そうな男は

可哀そうなまんま 生きてゆくしかありません

それが もっぱら 格好のわるい生きかただとしても

それが もっとも 賢明だから



可哀そうな男は

だから 呼び名すら 欲しがらないのです



それ自体 意味などしらぬ

だから どうでもよい、などとも思わぬ



もっぱら彼は ひたすらに 寡黙



可哀そうに



それが彼のゆいいつ背負えた宿命だから

命ひとつ それ自体で 精一杯だから



可哀そうな男は

可哀そうなまんま 生きてゆくつもりです

あしからず



彼は黙してゆくのです

可哀そうな男

可哀そうな男

「可哀そうな男は 可哀そうな男は 可哀そうなまんま 生きてゆくしかありません ……」

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-16

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