言葉集

贈物

過ぎ去っていくあなたに、めいいっぱいの愛情を。

願い

笑ったら下がる目尻とか、少年っぽい瞳とか、冗談ばっかり言ってる口とか、
耳に心地いい低い声とか、無茶ばっかりして鍛えた筋肉とか、
私の手に噛み付いてくる歯とか、抱きしめてくれたかたい腕とか、
職人っぽいごつごつした手とか、どれか、どれか一つでいいから、
置いていって。

生きることは素晴らしいことだ。
それでも辛いと思ってしまう私にとって
生きることは業だ。

大きなうねりが目前を流れていく。
皆疑いもせず、あるいは考えることを放棄して流れに身を任せていく。

私は憤る。
おかしいではないか。
その先にはなにもないのだと叫びたくなる。

しかし、場外で何を吠えたところで流れはかわらない。

だから私は流れにあえて挑むのだ。
流れにのって、叫びたくなるのをぐっと堪えて。
流されるのではなく流れるのだ。
志を失わなければ流されることもない。

そうして自分を見失わず流れ着きたかった方向に
いつしかその大局をもっていく。

言葉集

言葉集

脈絡のない短文集

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-14

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