血と涙と微笑みと。

血と涙と微笑みと。

飛び散った紅。
滲む赤。

何も言わずに抱きしめる。
「僕は……」
そのあとが続いてこない。
だから、僕が言う。
「言わなくていいよ。
――いつか、君が言いたいと思った時に言えばいい」

滴る紅。
揺れる赤。

鮮血に身体を染めて、零す涙。
震える肩。

落ち着かせるように、髪を梳いて背を撫でる。
伏せられた睫毛から零れ落ちる涙。
そっと唇で拭ってみる。
僕の唇の動きを追うように目を上げて、
僕の方を見てくる。
涙に濡れて、潤んだ赤い目。
どんなに戦っても、敵を殺めても、
いつまでも濁りなく
倒した相手のために涙を流す澄んだ目。

「血が…君が汚れちゃう」
「いいんだよ、そんなこと」
頬を撫でて、瞼に口づけて。
「泣きたいときには泣けばいい。
辛い時には僕を呼べばいい。
いつでも僕は、君の傍にいるから」
「……君は、誰…?」
「さあ……。
きっと、僕は君だよ」

まだ不安げな顔を頭ごと抱えて
抱きしめる。
ゆっくりと、体重がかかってくる。
僕の背に腕を回して、身体を預けてくる。

そう、
そうやって、眠ればいい。
僕がついていてあげるから。
他の人に見せたくない弱さは
僕の前で全部出してしまえばいい。
そうしたら、仲間の前で笑えるから。

だから、今は泣いて
泣くだけ泣いて
そして、おやすみ。
明日の笑顔のために。

血と涙と微笑みと。

先日のテーマ「赤」についての雪との雑談より発生。
99の日なので、バージョン違いのジョーを2人書いてみたかっただけなんですが。

血と涙と微笑みと。

サイボーグ009二次。 新ゼロ9と平ゼロ9。 ちょっとだけ流血注意。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted