カレーチャーハン

諸事情により、ショートショートを練習中です。カップラーメンを待つ間にでもご覧下さい。
チャーハン食べたいと思って思い付きました。

カレーチャーハン

 いつも通りの昼休み、私は高校時代最大のショックを受けた。数少ない学食のメニューの中から、私が大好きだったカレーチャーハンが無くなってしまった。今日のように四限目の体育が終わった後、空腹で思わず倒れそうな私を救ってくれていた英雄だった。その彼が、とうとういなくなってしまったのだ。
 学食で働くおばちゃんに聞いてみても、「色々事情があるのよ」と言って、理由は教えてもらえなかった。私は何度も食べていたから人気のメニューだと思っていたが、もしかしたらあまり売れ行きがよくなかったのかもしれない。やはり商売、売れ行きが悪い商品が消えるのは当然なのだろう。
 ああ、しかし悲しいものは悲しい。これから四限目の体育の後、学食で何を食べていったらいいのだろう。今日のところはしょうがないから、普通のチャーハンを食べることにした。
 それから半年経ったが、学食のメニューにカレーチャーハンが戻ってくることは無かった。所詮はただのお昼ご飯だから、一ヶ月も経てばいつの間にか悲しいと思った記憶も頭の片隅に行ってしまった。
 部活が終わって学校を出る。空はすっかり暗くなり、飲食店やビルが立ち並ぶ街は、電燈のおかげで明るくなっていた。いつも色々な店を見ながら家に帰る。ふと、一つの中華料理店が目に入る。どこかで見たことのある店名だ。
 あ、と手を叩く。昨日テレビでやっていた、最近流行りの中華料理店だ。今までほとんど店がなかったが、半年前くらいから急に人気になり、店舗も全国的に増えたらしい。その番組では社長が映っており、リポーターが人気になった理由を聞くと、「沢山の方に試食してもらい、一番人気だった料理をメニューに追加したからです」と答えていた。人気メニューはなんだっただろうか。
 ああそうだ、カレーチャーハンだ。

カレーチャーハン

カレーチャーハン

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-06

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