百本のろうそく 第一本

4月1日、エイプリルフール。
一年に一度だけ威張ってウソをついて良い日。が、今日。
私は普段気に入らない(嫌いな)友達に嘘をつこうと決めた。
その子は「霊感がある」と言い張っていて、このあいだも私に霊がついてるだの呪われてるだの言ってきたの。私怖いの苦手だし、「冗談でしょ?」そう聞いても「いいえ本気よ!」。
どうかしてると思う。で、私今日 嘘を使ってその子と絶交したいの。
と、いうことで。私は怖いの嫌いなのを必死に我慢して、怖い作り話を作った。それがどうエイプリルフールと関係してるかっていうのは、まあ、みてて。

「ねえ、今日うちに来てくれない?!最近怖いことが起こるようになって・・・」
私はその《霊感を持ってる子》に話しかけた。
「ね、やっぱりそうでしょう?分かった。いく。」
この言い方が気に入らないのよ。私の嘘ともしらないで・・・。ザマーミロ!!
「で、具体的にどんな事が起こるの?」
「あ、あぁ、夜中に電話がかかってくるの。知らない人から「助けてぇ」って」
こうして私の家に自称(霊感を持ってる子)が泊まる事になった。
7時。私のケータイから家の電話にかける。(バレないようにね。)
 ぷるるるるる・・・るるるる
「来た!!この電話よキット!!」
私は精一杯の演技で怖がって見せる。
「私が出るわ。」
その子が受話器に手をかける。
私の計算は、出る→何も無い→ほら、あんたに霊感は無いじゃない!  ・・・となる予定。
 がちゃ。
「もしもし。」
・・・・・・・・・・少しの沈黙のあと、《霊感を持ってる子》は言った。
「たすけって・・・ って言ってるわね。ほんとに。」
!?そんなはずないわよ!?だってこれは私の作った・・・
ふと 時計をみると、針は0時5分をさしていた。
「え・・・いつの間にこんなにたって・・・」
不意にその子は私に受話器を渡した。
「何よ!?」
苛立ち気味にその子にいった瞬間、受話器のむこうで聞こえた。
「た・・・・・す・・・・・け・・・・て・・・。」

百本のろうそく 第一本

百本のろうそく 第一本

怖そうで怖くなくてチョット怖いかも・・・?

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-11

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