そら空2

続編です!!
ストーリーがよく分からない人は1を読んでくださいね!!(←宣伝★)

四月。
桜がひらひら風に舞って、愛輝を包む。
新学期が始まり、今日から愛輝(あき)は二年生になった。が、新しいクラスになっても愛輝の噂は広まっていて、だれも愛輝に近ずこうとはしなかった。
新一年生達が桜の木下に輪を作り、写真を撮っていた。
「いいなあ・・・。」
そんな一年生達を見ながら、愛輝は思わず心の中をこぼした。
桜の木下で、新しく出来た友達と写真を撮る。
愛輝の叶わなかった夢の一つだ。

あの本を見つけてから愛輝は何度も図書室へ足を運んだが、自分が書き込んだ≪悩み≫には、まだ誰からも返事はなかった。
さらに発作がひどく、おまけに出られなかった分の授業の勉強もあり、春休み中は学校に来れなかったのだ。
今日は2時間で授業は終わり、部活がある生徒は学校に残って練習をしたりするが、愛輝のような帰宅部の生徒はさっさと帰っていく。
しかし愛輝は、家に真っ直ぐ帰っても何もする事が無い。
「今ならいいかな・・・」

階段を駆け下り、図書室へ走る。
息を切らしながら、自分の鼓動を感じた。ワクワク、ドキドキ。《返事が、きてるといいな》
図書室のドアを開ける。基本的には、図書室はいつでも開いていることになっている。
  ガラ。
「あら?あなた愛輝ちゃんじゃない。いらっしゃい。」
「あ、おじゃまします。。。」
図書の先生が居た。《どうしよう・・・先生、あの本のこと知ってるのかな?》考えた結果、先生には何も言わないことにして、そろそろと棚の側に移動。
去年の12月に本のあった場所は覚えておいた。
前から三つ目の棚の、一番下の段の端だ。
棚から茶色い箱を抜き取り、箱から本を取り出した。もう何度も見たオレンジ色の表紙。《返事がなかったらどうしよう・・・》。震える手で、自分が書き込んだページを探す。
「あっ!」

【病気のせいで学校を休んだり、発作で授業に出られないことがたくさんあります。そのせいで部活も出来ないし、友達もうまく作れません。本当はもっと学校生活を楽しみたいのに、こんな体のせいで思い描いていた夢をひとつもかなえることが出来ません。そんな時、この本を見つけました。お願いです。どうすればいいでしょうか?助けてください】

愛輝が無意識に描いていたこの≪悩み≫の下に、とてもきれいな字で返事が書かれていた。

【つらかったよね、私は引っ込み思案な性格で、そういう悩みはすごくわかります。でもこの本を見つけて、学校生活がが変わりましたよ!。私の時は、笑顔で積極的に話しかける、とか、一回一回の出られる授業でたくさん手を挙げて発表する、とかでうまくいきました!やってみて!最初はいきなり発表するとか恥ずかしかったけど、意外に慣れてきたら楽しくなってくるものですよ!!焦らないで、ゆっくりがんばって!!
                                              きっと、大丈夫。】
【僕も病気です。同じ悩みがあります。一緒に頑張りましょう!!】

「きっと・・・大丈夫・・・」
愛輝は口に出して最後の行をくりかえした。
《きっと、・・・・・・大丈夫。焦らずゆっくり頑張ってがんばって・・・一緒に頑張りましょう・・・》
自分に向けられた、温かい言葉。それを見ているだけで、自分は独りだという孤独感が和らぐ。

「愛輝ちゃん」
いきなり声をかけられ、慌てて手を体の後ろに回して本を隠す。
「せ、先生・・・」
「驚かせちゃった??ふふ、ごめんなさい。・・・そんなところに立ってないで、こっちのいすに座って読んだら?」
「あ・・・・いえ、大丈夫です。有難うございます。」
本に気付かれないように早口で言う。
「・・・そお?じゃ、先生ちょっと職員室行ってくるから帰るときに電気だけ消しておいてもらってもいい?」
そういうと先生は図書室を出て行った。

「ふー。」
愛輝は壁にもたれかかると、自分のかばんの中からペンケースを出して開け、シャーペンをにぎった。
【ありがとうございます】
そう書き込むと、愛輝は本を閉じた。


≪《続く》≫

そら空2

そら空2

【病気のせいで学校を休んだり、発作で授業に出られないことがたくさんあります。そのせいで部活も出来ないし、友達もうまく作れません。本当はもっと学校生活を楽しみたいのに、こんな体のせいで思い描いていた夢をひとつもかなえることが出来ません。そんな時、この本を見つけました。お願いです。どうすればいいでしょうか?助けてください】 (本文より抜粋) 愛輝が書き込んだ≪悩み≫。 その返事は、温かく、やさしいものだった。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-11

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