偽善

大人になれない

小学生だか中学生だか記憶は曖昧だけど、道徳の授業というのがあった。
社会生活を送るために最低限身に付けなければならないルールみたいなものだと解釈している。ごみを道端に捨てないとか、お年寄りに親切にするとか、イジメをしないとか、そんな授業だった気がする。

40歳を過ぎて、やっと面接をクリアしたアルバイト先で僕はイジメに合っている。確かにこの年になって新入社員に応募してきたおっさんなんて、若い人達からすれば、好奇の目で見られても仕方ないとは思う。駄目人間に見られても仕方ないだろう。

そんな僕に今日も優しい先輩方は、昼飯の弁当を買って来いと命じ、分かりましたと気軽に応じてコンビニまで買いにやって来た。真夏の炎天下の中、徒歩5分とはいえ、7つの弁当を持って帰るのは結構キツイ。

汗だくになりながら僕はふと、道徳の授業を思い出した。イジメって大人になってもあるんだよなぁと、しみじみ噛みしめた。

偽善

偽善

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-04

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