ぼくらの


ぼくらの罪はいつも無言だ

やみくもな異端者だ

白痴にこぶしをたたきつけ

生きるよすがに暴走している 慾深だ

バベルの塔をかけのぼり

がらんどうを徘徊している

ただただ 無常である。

衝動はいう。「許しを、許しをください」

不満足の哀しみへ 不毛な賭けを手によじのぼり

むちゃくちゃに臍を噛んでいる

愛のない廊下と 愛のない暗がりと

それら一体の盛り場をゆけば

また 殴られる快感へと荷をあずけ

ぼくらはいくども変態をする



「ぼくらの罪は否応がなく

ぼくらの生きるへ帰結する」



ともすれば 引き出しの空洞にも

女児スカートの翻りにも

詩人がまとう偽善書にさえ

意義ある存在などあるのだろうか

すべては「事なかれ主義」のように味気なく

ぼくらが正しさを求めるかぎり

罪はかえって 頑なに門戸をとざす

そうして馬鹿だの阿保だのと 吹聴をする

救済を恥じぬ意思のまにまに

すべてがただただ 無常である。



だからだろうか

ぼくらは ひとつのマリアを恋い慕う

それでも生きたいと 何故だと知らず

見果てぬ相槌と ビートを夢想し

(つばき)は猛り

ただ朴訥と鼓動をきざむのだ



これこそが生きる(うた)であり

ひと欠けらが生きるすべであり

クラシカルな煌めきであり



やがてボレロは激烈な指揮をする

表舞台の幕開けをみるだろうよ

とてつもなく清々しく

そうして たくましく



無常を盾にして

それまでぼくらは 生きようとおもう



「ぼくらの罪は否応がなく

ぼくらの生きるへ帰結する」



それでもぼくらは 生きようとおもう

ただただ 生きようとおもう

ぼくらの

ぼくらの

「ぼくらの罪はいつも無言だ やみくもな異端者だ ……」

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-04

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