思考

『思考』

ふわふわとしたゆめがゆっくりとおわっていく……

そうして目がさめたとき、わたしはまっくらなところに居た……
意識がぼんやりとしているが……ここはどこだ?あたまがはたらかない。

少し周りを探ってみると、私はベッドの上にいるらしい。
なんだか左手が痛い、じくじくとした痛みだ。
だが、周囲は真っ暗闇、どんな風になっているのか分からない。

それにただじっとしていても一つも手がかりは得られない。
こうなれば行動だ、と足をおろした途端に足下にがさり、と妙な感触が走った。
何か……と拾ってみれば、ただの紙切れだ。
くしゃくしゃで、所々ばきばきになっている……

その時、突然ドアが開いて、一人誰かがが入ってきた。
「あら……サブロウ、起きたのね」光が眩しく、顔つきが全く分からないが、声からすれば二十頃の女性らしい
「さあ、薬の時間よ」と、彼女は一包の薬を差し出した。
薬なんてなんて知らないぞ、と言えば彼女は「まだ夢うつつなのね、さあ、新しい料理も出来てるわ。薬を飲んで行きましょう」とせき立てた。
待てよ、一体何の話だ?ここはどこなんだ?私はだれなんだ? 信頼できない思考能力でふと考えた。

しかし確かに眠っていたのだから、当然思考がぼんやりしているのも無理は無いか。
信頼できない思考でも良い、私は『サプロウ』なのだろう。
何かは分からないが、ひとまず薬をごくりと飲み干した。
その時、右手に掴んでいた紙に「行くな」と薄黒い色で書いてあるのが読み取れた。
左手の痛みの原因が、人差し指の怪我なのもまた分かった。これは……私が血文字で書いたのか?

それにしても……どこへ行くなと言うのか、私の文字なのだとしたら話が全く分からない。
「あら……怪我してるの?」と悩む私の左手を彼女が見つけ出した。
「一体どうしたの?寝てる内に噛んじゃったのかしら?」
振り返ってベッドを見てみると、思いの外血塗れの跡が残っていた。

これはまずい、と彼女に告げると「だいじょうぶ、あっちでお医者さんが料理といっしょに怪我を見てくれるわ。
さあ、その紙をちょうだい。どうでもいいことなんだから」と紙を取り上げた。
まぁ……そんなことはどうでもいいこと、か……良いあんばいにふわふわしてきた。「あたらしい料理」をいただくとしよう……

じゃあいこうか……りょうりをたべよう……
そうつぶやくと、彼女はわたしの手をとり、もっとまぶしいばしょへつれていき、ちがうべっどによこにした……

……その後、私に二度と思考の機会は与えられなかった。私が私の思考を止めたからだった……

思考

書いておきながらぶしつけな発言ですが、これはもっと長い文章、話の終わりに持ってこられるべき話でしたね。
彼や状況の姿、ここに到るまでの背景が不鮮明になってしまいました。
鮮明である方が色々な意味で完成度が高まるな、と書き終えて感じました。
これではただのラクガキですね、ここからもう一段二段、もっと上へ!w

思考

人は思考を巡らせる。自然にも意図的にも、生きるためにものんびりしていくためにも……そんなワンシーン。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-10

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