鬼の行方

 その山間(やまあい)には鬼がいた。
 遠いはるかな昔には。
 徒党を組んで 山降りて
 近くの農村 荒らしてた。
 強き力を いいことに
 我が物顔で 暴れてた。

 その山間には鬼がいた。
 遠いはるかな昔には。
 時が進んで 国が立ち
 幾多の戦乱 湧き起きて
 軍勢 野山を駆けるうち
 いつしか鬼は 消え去った。

 その山間には鬼がいた。
 遠いはるかな昔には。
 消え去りし鬼 今 何処(いずこ)。
 風の彼方か 雲の上
 それとも海や 地の底か。
 鬼の行方は知らねども
 人の住む土地 影は無し。

     <了>

鬼の行方

鬼の行方

昔は鬼がいたけれど……、といった感じの内容です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-01

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted