鬼の行方
その山間(やまあい)には鬼がいた。
遠いはるかな昔には。
徒党を組んで 山降りて
近くの農村 荒らしてた。
強き力を いいことに
我が物顔で 暴れてた。
その山間には鬼がいた。
遠いはるかな昔には。
時が進んで 国が立ち
幾多の戦乱 湧き起きて
軍勢 野山を駆けるうち
いつしか鬼は 消え去った。
その山間には鬼がいた。
遠いはるかな昔には。
消え去りし鬼 今 何処(いずこ)。
風の彼方か 雲の上
それとも海や 地の底か。
鬼の行方は知らねども
人の住む土地 影は無し。
<了>
鬼の行方