読書家は旅をする

古本屋巡りが好きだ

古本屋巡りが好きだ。特にあまり流行っていないようなところは人の流れも本の流れもゆっくりと停滞しているようで、その空気をかき分けながら歩いていると、まるで知らない土地を旅をしている気分になる。

事実、本には扉があって、それを開けば少しの間だけ旅をすることができる。
どんな旅になるかは、その本次第である。ただし、ぶ厚い本が中身のある旅を約束してくれるわけではないし、繰り返し読まれて汚れた本だからといって自分にとっては実りの旅となるかわからない。
全ては偶然の出会いなのだ。実は、ここだけの話だけれど、同じ作家の書いた同じ物語が全く別の結末を持っていることも少なくない。だから、わたしは古本屋が好きなのだ。

書棚から一冊の本を引き出し、店主の待つレジへと向かう。
「おや、あなた、この本。前にも同じものを買わなかったかね?」
いいんです、と短く答えて代金を差し出す。
私が読むのは物語だけではないから。この本をここへ売ったのは一体どんな人物だろうか。偶然の素晴らしい出会いに期待して、帰路を急ぐことにする。



++超能力者++
立川 心平(たちかわ・しんぺい)
ESP:触れたものの、残留思念を読み取る

読書家は旅をする

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読書家は旅をする

1分で読めます。「話の中に必ず超能力者がひとりは出てくる」というしばりで掌編の連作を執筆中。 超能力者の名前と能力が必ず最後に記載されてますので、答え合わせ感覚で読んでいただければ幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-27

Copyrighted
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