墓地

まど

暗闇の中
懐中電灯の灯で灰色に浮かび上がった墓地
その中でやはり一際に光るあなたの墓
しおれていたはずの花束が
手向けられた当初のように咲いている
 
怪訝に思って花束に触れると
花束はあなたに変貌し
僕はあなたと邂逅を遂げる
僕を置いて息絶えた
すっかり血液の冷えたあなたが
生前と変わらぬ容貌で
生前と変わらぬ感触でそこに存在する
そのことに僕は
安堵と 落ち着かぬ苛立ちを覚える

死人は死人だ 墓に眠れ
懐中電灯を必死に振り回し
あなたを模した彼女を追い払う
俄かに偽物の皮膚が溶けて空虚な骸骨になり
がらりと崩れる渇いた頭蓋骨に夢を覚まされる

次第に暗闇がぼんやりと灯り始める
その穏やかな夜の終わりに
僕は今日も打ちのめされるのだ

墓地

墓地

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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