天使
麻耶は小学校を無事卒業して中学校に入学した。
「おはようございます~」
体格のしっかりした先生の大きな声はクラスの空気を裏切ったかのように聞こえる。
「おはようございます」
それでも一人大きな声で返事をした人がいた。
長谷川優希ちゃんだ。
今日は中学校の始業式なのだ。わたしは都内の女子校に入学した。知らない人ばかり。
「はい、じゃあ移動体育館に移動します」
どしっとした先生の後をつけていく。体育館に着いたら先輩がたくさん☆
「あそこの先輩かわいい♡」
「ほんとだー」
「うちは、南小学校から来た」
「近いじゃん」
みんなべちゃくちゃしゃべってる。
わたしの周りは好きなアイドルについてしゃべってる。
ていうかわたし置いていかれてるじゃん。
あれここ静かな学校だと思ってたのに~。
しゃべりかけれないし。。。
「じゃあ始めます」
あ~退屈~
「次は校長先生の話」
みんなが一斉に静まりかえった。
「(略)一年生のみなさんご入学おめでとうございます。第一日目を迎えることが出来、誠にうれしく思います。この学校は、自立と自由を学園訓にしています。日々の授業でも、人生とは何かって感じることがあると思います。わたしは、世の中にユートピアをつくることを目標としています。ユートピアとは何か知りたい人は調べてみましょう」
わたしは気になった。
教室についた。
「みなさん、自己紹介しましょう」
わたしのクラスは四十四人。
わたしは三十三番...
良かった。
安心。
みんなの自己紹介が進められてく。
来ませんように。来ませんように。
「はいじゃあ次」
もじもじしながら立ち上がった。
みんなの視線が集まる。
「水野真耶です。趣味はパソコンです」
「はいじゃあ次」
てことで、みんなの自己紹介が終わった。
わたしは、気になってた子がいた。
林麻菜ちゃん。
ずっと笑顔で自己紹介していた子だ。
仲良い子もいなさそうだけどわたしはなんか心がつながった気がした。
さっき、振り向いて笑ってくれたようだ。
勝手に思い込んだだけかもしれないけどね。
「じゃあ、帰りましょう。明日はさっき配った時間割通りな」
先生の言い方かっこいい。ニヤリ。
「ただいま~」
元気よく言った。
「あ、おかえり~」
ママがお出迎え。正直言って邪魔だけどね。まあ、うれしい。
「今日、どうだった?」
「ふつうだったよ」
そっけなく言ったわたしにママは、
「大丈夫? いつもの元気な真耶ちゃまじゃないぞー」
「楽しかったよ~」
わたしはテンションをあげて言った。
もうママはおせっかいなんだから~。
「お~。よろしい~」
ママおこちゃまか。
部屋についた。
家についてまずは宿題。ないね。
なら、パソコン~。
今日校長先生が言ってたユートピアについて調べよ。
うーんと,神仏から与えられた使命を果たしてこの世の中を美しいユートピアにするために生きているのです。だって。
訳分かんないけど、分かるような気がする。
「真耶~。ご飯だよ~」
「早っ。はーい」
「いただきます」
今日は、妹、姫奈の入学式。小学校のね。
「今日、パパは?」
姫奈が聞いた。
「さっき、仕事行ったよ。夜勤みたい」
相当さみしいみたい。
わたしと姫奈の入学おめでとうパーティー☆
ていっても、いつもと変わらないしゃぶしゃぶ。
ちょっと豪華かな。
「友達できた?」
「うん。まいかちゃんとひーちゃんと...。真耶ちゃんは?」 笑ってごまかした。
姫奈はおしゃべりちゃんだもんね。
いいなぁ~。
次の日。
「いってきますぅ~」
わたしは、いつものようにでていった。
「まだ、だれも歩いてないし~」
学校に向かう途中にだれも見当たらないのだ。
わたしは、そのまま学校に向かった。
着いた。
昨日、先生に教えてもらった道を歩いて行く。
「あっ。着いた~」
ガラっ。
麻菜ちゃんがいた。
わたしは話しかけようか迷った。
その前に麻菜ちゃんが
「真耶ちゃんだっけ? よろしくね」
にっこりしてわたしの横にきた。
「うん。よろしくね」
言えた。喜びいっぱいで笑顔になった。
「昨日の校長先生が言ってたことの意味知ってる?」
麻菜ちゃんも気になったんだ。
「うん。昨日調べた」
「なんて意味だった?」
「人間は神仏から与えられた使命を果たしてこの世の中を美しいユートピアにするために生きているみたいだったような」
戸惑いながら答えたわたしに
「真耶ちゃん、すごい。わたし、感動しちゃった。真耶ちゃん一緒に見つけていこうね」
「うん」
わたしはなんかうれしかった。
とんでもない友達できたよ。姫奈。
今日はずっと麻菜ちゃんといた。
いっぱい友達できたし、楽しかったなあ。
一か月後...
「麻菜。なんで優希ちゃんといるの?」
わたしは、麻菜とずっと一緒にいるつもりだったのに。
楽しかったのに。
「わたしより優希ちゃんといる方が楽しいんだ」
つい、言ってしまった。
「わたしの気持ちなんかわかんないくせに」
わたしは言い過ぎたと思った。
一人で席につき、
一人で帰り、
一人で悩み、
一人で泣き、
一人で行動。
麻菜なんかにわたしの気持なんか分かるわけないでしょ。
みんなに見られて、ひとりだって。
いじめられてる子に思えちゃうじゃん。
わたしは家で今までやってたパソコンゲームをしずに相談サイトで相談をしてる毎日。
わたしなんか、どうして生きてるんだろ。って思えてきた。
そんな時わたしに希望をくれたのがPC友達。毎日チャットしている。
その友達が、ユートピアを作るためだよって。
その時わたしは入学式の時、校長先生がおっしゃってたことを思い出した。
その時わたしはこの世に貢献しようと心に誓いました。
そして、ユートピアについてもっと調べてみると、
『死後の世界は地獄と天国に分かれていてユートピア実現に貢献した人こそが天国にいく』と書いてありました。
「実現するためにどうすればいいんだよ~」
わたしは、小さすぎるよ~。
麻菜がいたらきっと教えてくれたのに。
学校に行ってもまだ、友達ができないわたしです。
「真耶~。ご飯できたよー」
「はーい」
わたしが一人だってこと、ママはまだ知らないんだ。
「真耶。最近元気ないけど大丈夫?」
うわっ。ママこわいし...
「全然大丈夫だよ~」
「学校の先生から聞いたよ」
わたしは、今まで泣いたことのないぐらいの量の涙を流した。
麻菜ちゃんとのことを涙をすすりながら声が出なくなるくらいぐらい話した。
ママはずっとわたしの話を黙って聞いていた。
「優希ちゃんに嫉妬してたんじゃない? 真耶は、かわいいね。大好きな友達はだれにも譲れないんだね。ママに話してくれてありがとう」
いつものママじゃなかった。
「ありがとう」
ママはわたしの自慢のママだ。
「麻菜ちゃんに誤ってみれば?」
「うん。頑張る」
「真耶ならできるから」
次の日...
わたしは麻菜に謝ろうと思っていた。
「ごmmmm」
詰まってしまった。
麻菜がわたしの悪口を言っていたのだ。
わたしは、トイレで泣きじゃくった。
家に帰って...
「どうだった?」
ママが一番に聞いてきた。
「...」
「なんでもいいじゃん」
ついに言ってしまった。
「真耶。何があったの?」
「...」
ママがわたしの部屋に手紙を入れた。
その手紙には、
『リビングで待ってます』
って書いてあった。
わたしは仕方がなくリビングに行くことにした。
「真耶」
そう言ったママの目には涙がうつっていた。
「真耶どうしたの?」
ママの顔を見ていたら言わざるえなくなった。
「麻菜がわたしの悪口言ってるの聞いちゃって、友達なんかいらないやって思っちゃった」
前に増してわたしは泣いた。
「真耶、友達って必要だよ。小学校のころ思い出して。あなたが一人になった時にずっと近くで励ましてくれてた子いたでしょ。あなたの人生だよ。一度きりの人生。友達は必要よ。ゆっくりでもいいから作っていきなさい」
ママ、ありがと。
「はい」
学校に着いた。
わたしは、麻菜が一人になっているときを見計らって謝ろうと思った。
でも、全然ない。
あっ。今だ。
わたしの目は麻菜一直線。
だれがいようとどんどん行った。
「麻菜!」
麻菜が振り返った。
「ごめんなさい。わたし悪かった。」
「真耶ちょっと来て!」
わたしは、応接間に連れてかれた。
応接間にはママと先生と麻菜のお母さんがいた。
「真耶!」
「麻菜!」
お母さんたちが同時に言った。
「真耶ちゃんよくやった」
そう言ってわたしにガッツポーズをした。
わたしはあわててお辞儀をした。
「すいませんが、なんでここに集まってるんですか?」
「麻菜ちゃんが真耶の仲直りしたいって麻菜ちゃんママに言ったんだって」
わたしは、びっくりした。
「麻菜、わたしの悪口言ってたの聞いたから」
麻菜ご気まずそうに
「ごめんね。わたし、弱かったからつられて。でも、真耶とのことは今まで後悔しなかった日はないんだよ」
麻菜がそんなこと思っていてくれたなんて。
自然と涙が出てきた。
「最初の日、会った時誓ったよね」
「うん」
「また、やり直そう」
「よろしく」
迷いはなかった。
「よろしく」
お互いの目を見あって。
「じゃ、教室もどるぞ」
先生の声でわたしたちは授業中だったってことに気付いた。
わたしたちは、それからけんかもしながら最高の仲になっていった。
あの日、わたしが謝ったから...。
すごく充実している。
みんな、乗り越えて生きているんだね。って二人で話し合ったこともあった。
天使
百年後...
「ユートピアってね、一万人に伝えると死んだあとに天使になれるんだって」
「昔に百年くらい前に麻菜と真耶って子が、ユートピアを世界に広めて今があるんだって」
「世界に広まるといいね」
「うん」
麻菜と真耶の協力により、日本を救った。
この二人は今や天使になってこの世を救っているかもしれない。
きみもユートピアの旅に出よう。