ジャバウォッカーウィルス

一体何処で貰ったか
背筋を駆けるうすら寒い信号
躯を抜けて地を這いずり
のたくり回る幻覚が広がる

泡立つ右手
歪む時計
笑う鳩

感染する妄想
確かに肥大して弾ける
無数の幽霊の種、卵

みんなでぞろぞろ屋外に飛び出して
まるで救世主のように両手広げて叫ぼう

「嘘八百万の神々よ、頓珍漢な戯言を吐く
新種のウィルスを授け給え!」

みんなで楽しくジャバウォッカー
馬鹿みたいに赭い口を開け放って
思い思いの妄想を垂れ流そうよ

声掛け合えばほらオトモダチ
雑踏にかき混ぜ消えれば
また誰かが患者になって

ジャバウォッカーにつける薬はないよ
病原を突き詰めたがるのも
またジャバウォッカーで
馬鹿みたいに開け放った口から
本当に幽霊が滑り込んでいく

新しい妄想を紡ごう
降臨する嘘八百万の神々は
信じる者を裏切りはしない

だから笑って?

ジャバウォッカーウィルス

ジャバウォッカーウィルス

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted