変人少年・荒牧編~part1~
あまり事件が起きない、起きたことのない町で一件の事件が起きた。一家族が全滅、つまり皆殺しされるというあまりに残酷な事件だ。
この事件は多くのニュースや新聞で大きく取り上げられ、ほぼ全国へ知れ渡った。
しかし、人間が5人も殺されているというのに犯人の手がかりが一切なかった。そのため犯人は捕まらないままだ。世間でこの事が発覚すると当然、
「こんなに人を殺しておいて犯人を野放しにしておくなんてありえない。」
「早く犯人を捕まえてほしい。」
といったクレームが警察の元へ来るわけで、警察も犯人を捕まえようと必死だった。
ところ変わってここはごく一般的な高等学校。
その高校にある少年がいた。その少年は人と接触することを好まない。親はいない、友達は限られた人としか話さない・・・といった固い性格で周りから「変人・異人」と言われていた。しかし、この少年はこのまま一生が過ぎればいいのに。と強く願っていた。
教室のすっみこ、皆が試験勉強で忙しくペンを動かしている中、少年はただ先生の話を聞いている訳でもなく黒板の字をノートに写している訳でもなく、ただ外の景色を見て眠たそうにひとつあくびをしていた。すると、
「おい、荒牧。眠いなら顔洗って来い。」
と授業をしていた先生(東野巧実)が言ってきた。荒牧と言われた少年は外の景色から目を放し、
「大丈夫です。」
と一言つぶやいた。
「それならいいんだが。お前はこの学校の期待の星なんだからしっかり勉強してもらわないと困るんだぞ。」
「分かってます。」
少し説教を入れたかと思うと、また授業が再開した。授業が再開したにも関わらず、荒牧はまた外の景色に目を移した。
この無愛想で表情が読めない少年が今起きている一家全滅事件を解決するとは誰も思っていなかった。
変人少年・荒牧編~part1~