私の制服と母の浮気と花言葉
私は一晩中泣いた。
短編。
思いつきの駄作。
私は一晩中泣いた。
心と体が痛くて泣いた。
朝。目覚ましより早く起きた。窓の外は晴天。小学生の無邪気な声。
心地よい風。制服に着替え、鏡の前に立つと、皺が目敏い。しかし今から皺を伸ばす時間はない。
見せしめだ。私に向けての見せしめだ。この制服のまま、学校に行くことを覚悟した。
「ごはんできたよー。」と母の声。
「制服しわくちゃじゃない」と母の声。
・・・というか、たぶん母。
母と同じエプロンをし、母と同じ口調で、母と同じように朝ごはんを作っている。紫の花の頭をした・・・人間?母?頭は花だけれど、先週母が自分へのご褒美だといって買ってきたらしいダイヤの指輪を薬指にしている。
あぁ これは 夢なんだ。
気色悪いけど 夢なんだ。
朝ごはんは私の分しかなかった。きっと父はもう出てしまったのだろう。
朝ごはんはいつもと何ら変わりない。メニューも、見た目も、味も。私が一晩中泣いていようが、母の頭が花になったからといって、たいした支障はない。
「いってきます。」
「いってらっしゃーい」
通学路の途中に花屋がある。若い女性が一人で経営している可愛い花屋。
「あー!!ハイドランジアっていうのよ。アジサイをヨーロッパのどっかが改良した・・・んだっけな?でもこれ5月から7月の花よ。どこで咲いてたの?え?花言葉?たしかー・・・「浮気」とか「自慢」とか・・・あと「辛抱強い愛情」とか!まぁ花言葉って色々あるから調べた方が正確ね。でも同じ花に「浮気」と「辛抱強い愛情」があるって、意味深よねー。あぁ、学校行くんだっけ?いってらっしゃーい!」
ざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざ
「・・・いってきます」
私の制服と母の浮気と花言葉
こういうときもあります。