傀儡
学校の帰り道 花弁をもいで吸った蜜
ホームランボールを探しに入った草むら
タイヤで作った秘密基地 駅は絶好の隠れ場所
裏山の木に登って 境内でかけっこして
近くを流れる清流で 泳ぐ魚を手掴みする
誰のものでも無いと 言い張っている自然達
そのうしろに 細く何かが見える
じっ と 見てみれば
それは 天に続く糸
今にも千切れそうに ピンと張った糸
気づけば どこもかしこも糸だらけ
赤外線センサーのように張り巡らされた
糸を迂闊に手繰り寄せれば
誰かの怒りに触れて
突如降りかかる落雷に手痛く焦がされる
「みんな 傀儡に過ぎなかった」
アルバムに綴じられた写真に
小さな呟きが落ちた
傀儡