FISH STORY

FISH STORY

夢を見る魚の話です。

魚は何十億年もの夢を見た。

魚は何十億年もの夢を見た。

深い深い海の底。

水流にのってきた噂話で耳にした。
遥か彼方、上の方角。
そこには「空」があるらしい。

ただ、1度だけでいい。
「空」を見てみたい。

噂は多くの魚に伝わり深海の底から、みんなが「空」を目指した。

多くの同胞が、失われていった。
それでも魚は夢をあきらめなかった。

涙を流しながら、「空」を目指した。

悲しんでるヒマはない。
上へ、上へ。と「空」を目指して。

魚の涙は、海に少し味付けをした。

やがて、最初の魚は海よりもせまい大地にたどり着いた。

光の下。
空のふもと。

魚は叫んだ。
もはやそれは、声になっていなかった。
でも叫ばずにはいられない。

魚はついに、長い長い夢をかなえたのだから。

いつまでも、いつまでも終わらない命の歌。

長い、長い夢の終わり。

FISH STORY

知人にこの話を見せたところ、作品の絵を描いて欲しいと頼まれましたが、何も描けずに眠らせていた作品です。このような形で日の目を見れて嬉しく思います。

FISH STORY

魚も夢を見るのだろうか。 そんな疑問をもとに書いたのが本作品になります。 もし彼らの長い夢を、私たちが見ることができればいいなと思い、 形にしました。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-19

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