人間になりそこねた魔女2
人間になりそこねた魔女2です!
突然の襲撃とアンバーの優しさ
スカイダーたちはバタバタと動き回る。
だがアンバーだけは落ち着いた表情だ。あの超クールなキャラビッシェでさえも焦っているというのに…
まぁキャラビッシェはアンバーのことになるといつも焦っているが…
皆それぞれの配置に移動したのか辺りは静まりかえっている。
会議室にはアンバーだけしかいない。
少ししてアンバーはたちあがると班員の元にスタスタたと規則正しい足音をたてて歩いていった。
「アンバースカイ!急いで配置につきましょう!」
アンバーがくるなり早々アンバーの部下ニコラス・アナザーとマルチ・ボブスレーが声をそろえて言う。
だがアンバーは気にもとめずに冷たく言い放った。
「何を急いでいるの?私は冷静で落ち着きがある部下を選んだはず。」
この班はアンバー率いる攻撃班だ。班員はアンバーをいれて全員で5人。
ニコラス・アナザー いつもつねに無表情。
マルチ・ボブスレー アンバーとかなり差があるがスカイダーではアンバーの次に強い。
ナチ・ナヨナ アンバーにベッタリのスカイダー。いざという時役に立つ。
ハナロナ 何故だかファミリーネーム不明。いつも静か。
この班員はほとんどがキャラビッシェが決めた者たちだがハナロナ1人だけはキャラビッシェと交渉のうえアンバーが班に入れたのだ。勿論班員にはアンバーが全員選んだと言ってある。
アンバーは全員いるか確かめると再び口を開く。
「戦場で死ぬほとんどの人は皆落ち着きがなかった人とか焦ってる人とか。
まあせいぜい死ななければ上出来。」
無表情でかなり冷たく言い放ったアンバーに班員たちは顔を歪ませる。
「そろそろ行かないとね。あなた達は後から追いかけてきて。」
アンバーはjetで先に行ってしまった。
アンバーが遠くに行ったあと、班員たちは話し始める。
夢
班員たちは曇った表情をしている。
ニコラスとハナロナだけは無表情だが。すると、それを見たチナが不満そうにいう。
「この班には無表情な奴しかいないな。まぁアンバー様は別だが。」
当然2人は無表情。マルチは苦笑している。
「ねぇ今思ったんだけど、アンバー様って何か暗い過去がありそう。」
ニコラスが話し始める。
すると、ハナロナが顔をひきつらせながらポツポツと話し始める。
「アンバー様は大きなお城で生まれた美しい姫です。」
ハナロナの言葉に全員驚く。
「ハナロナ。お前アンバー様の過去を知っているのか?」
「はい。アンバー様は…」
その頃アンバー
アンバーが到着したころキャラビッシェは疲れ果てたようにぐったりとしている。
辺りには魂を悪魔や魔女に吸われ抜け殻状況になったスカイダーの死体などが転がっている。
つまり生き残ったのはキャラビッシェだけだ。キャラビッシェの班員たちはこの死体だろう。
アンバーは無表情で死体をまたぎキャラビッシェの所に急いだ。
「アンバー。この通り俺の班員は皆こんな様だ。」
アンバーは無表情で頷く。その後「じゃあね。」とだけラビッシェに言ってスタスタと早足であるき壊れたビルの中に入って行った。
カチャカチャとガラスを踏む音だけがビルに響く。
アンバーは前に見た夢を思い出す。
そこは薄暗くこのビルのような所だった。天井には穴があいていて自分は瓦礫の下に埋まっている。瞼が鉛のように重く視界はぼやけている。誰も瓦礫の下に埋もれている私を見つけてくれないと孤独感を強く感じた。夢なのに凄くリアルだ。昔感じたような恐怖、絶望、孤独感がハッキリと感じられる。もう感情は捨てたはずなのに…
瞼がだんだんおりてくる。あともう少しで目を閉じそうになった時誰かが自分の名前を呼んだ。誰かはわからない。でも懐かしい声だ。その声は天井からくる。重たい瞼を無理やりあげてぼやける視界で必死にだれかと探る。
だが限界だ。静かに目を閉じた。
そこで夢が終わった。
アンバーは屋上に上がると周りを見回した。随分と派手に壊されている。床は今にも崩れ落ちそうだ。だがアンバーは気にせず破れたフェンスに近づく。
しばらくアンバーはビルの屋上からウェイブ・オブ・ザ・ストーリー通りの街をながめていた。
綺麗な街並みは今は跡形もない。オシャレな店は崩れ、廃棄の店になり、可愛い赤い屋根の家は窓がわれ壁は黒い。
「アンバー様。おむかえにまいりました。」
誰かがアンバーを呼ぶ。
アンバー・ブリッジメンドラー
「アンバー様は…」
ハナロナは言葉を切る。
「無理しなくてもいい。」
ナチが言うが、ハナロナは再び話はじめた。決心したような目で。
「アンバー様は王家に生まれた、女王様です。私はアンバー様に仕える専用メイドでした。でもある日、突然その王家は崩れてしまったのです。原因は…。王と妃の死です。お二人ともナイフで心臓を刺され即死でした。アンバー様は疑われ私はアンバー様の専属メイドだったため共犯者と認められでも何故だか私だけが城を追い出されました。ですが三年後スカイダーに就職したときアンバー様がいらっしゃったのです。昔のアンバー様の面影は全くありませんでした。
昔のアンバー様はどんなことがあっても自分より人を優先させ、いつも笑顔の絶えないお優しい方でした。」
「おい、ちょっと待て何故王家がなくなったのにアンバー様は王家の女王様だったといわないんだ?それに、何故アンバー様も疑われてたのに城に残った?」
マルチが疑問を問う。
「私は王家が、いつなくなったといいましたか?崩れてしまったと言ったのです。アンバー様はお父様の常識を覆しお父様の長年築いてきた王家を崩しアンバー様自身の王家にしたのです。追い出されなかった理由は、アンバー様は王家の後継ぎと決められていたので国はどうしようもなかった。それ以前に住民たちは、アンバー様が好きだったので罪を全て私とアンバー様の妹にかぶせ私とリガ様は国から追放されてしまいました。」
「まっまてよ。アンバー様にはリガっていう妹がいたのか?」
「はい。リガ様はアンバー様の双子の妹です。大変アンバー様に似ておりました。アンバー様はリガ様をとても可愛がってました。アンバー様は国や国民の誤解をとき私とリガ様を国に戻してくださいました。ですが、ある日アンバー様が突然いなくなられました。国民全員で国を探し回りましたがとうとう見つからず国は次期女王であるリガ様が治めることになりました。国民たちはアンバー様が王と妃つまりご両親を殺したと疑いはじめました。アンバー様は自分からありもしない罪をかぶったのです。リガ様は何年もアンバー様を待ち続け、私はアンバー様を捜すためスカイダーに入りました。スカイダーは目立つためアンバー様を捜しやすいと思ったので。ところがスカイダーに来てみればアンバー様が居ました。最初私はアンバー様に似た人だと思っておりましたが、右手につけている手袋で確信しました。その後話しかけてみるとアンバー様でした。しかし性格が昔のアンバー様ににてもにつかない。五年間の間に何があったかわかりませんが、アンバー様はここにきて変わられたのです。」
ハナロナは話終えると目を閉じ深呼吸した。そしてまた重々しく口を開く
「アンバー様は…アンバー様の正体は…」
つづく
人間になりそこねた魔女2
次回最終話!アンバーの正体が明らかに!
良かったら次もみてください!