毒薬

羊水から掬い取られた琥珀色の溶液は
年を経るごとに不純物によって希釈され
やがては半透明の液体として海に流れゆく

だがどういうわけか
時折 琥珀色のままでいる物がいる
そうした輩は その黄金濃度から
研究者の客観的観測に従って
危険度と性質をラベリングされ
堅牢な鉄製保管庫にて閉息する

すると溶液は黄金のままに毒薬に変わる
ちょうど追いやられた環境に適応するように

毒薬と成り果てた溶液は
自身の涙で毒性を薄めることに務め始めるが
たまにその理不尽に耐え兼ねて
自らの毒で身を滅ぼすか
周囲に毒を撒き散らすか する

毒薬

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毒薬

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-17

CC BY-ND
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