毒薬
羊水から掬い取られた琥珀色の溶液は
年を経るごとに不純物によって希釈され
やがては半透明の液体として海に流れゆく
だがどういうわけか
時折 琥珀色のままでいる物がいる
そうした輩は その黄金濃度から
研究者の客観的観測に従って
危険度と性質をラベリングされ
堅牢な鉄製保管庫にて閉息する
すると溶液は黄金のままに毒薬に変わる
ちょうど追いやられた環境に適応するように
毒薬と成り果てた溶液は
自身の涙で毒性を薄めることに務め始めるが
たまにその理不尽に耐え兼ねて
自らの毒で身を滅ぼすか
周囲に毒を撒き散らすか する
毒薬
変更前のデータをコピー&ペーストしてしまっていたので、変更後の文章に訂正しました。