心臓の奥底にか細く燃えていた炎は
押し寄せる暗闇に照らされて
怨嗟の風に揺れながら 苦渋を吸っては勢いを増し
引火性の血液によって全身に燃え移る

焼け落ちる目玉と その臭い
眼窩から黒橙色の炎が漏れ出す
 
炎を鎮めるには聖水が必要だが
小さな洞窟の、奥の、奥の、
青く幽かに輝く泉にだけ
その一掬いの聖水が存在する

薄暗い洞窟の中には
残骸がいくつも転がっている
脳髄までも燃え朽ちた 哀れな残骸達が

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-11

CC BY-ND
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