A Bouquet For You

A Bouquet For You

クリスマスイブに。君に想いを伝えます。

このお話はどうぶつたちが人間のように都会に暮らしています。
わかりやすく言うと、どうぶ◯の森のような感じです。
読みづらかったらごめんなさい。

A Bouquet For You

これは、トラとウサギの恋の物語である。



花屋を営むウサギは一人のキツネと住んでいました。
二人で花屋を営んでいるわけではなく、違う仕事をしているもの同士が一つの部屋に暮らしているのです。
キツネの仕事は、遠くに出かけることが多かったのですが、ウサギは一緒に暮らしました。
一人になることが多いウサギは、一人でキツネが帰って来ることを待っていました。
だからといって、家に二人でいても、一緒に同じ時間を過ごすことはありませんでした。
恋人でもなんでもないルームメイト。寂しがり屋のウサギにとって、寂しい気持ちしかありませんでした。
でも、彼女は本音をキツネに言うことはありませんでした。なぜなら、本音をぶつけた後の答えをもう、彼女は知っているからです。
『恋人でもなんでもねーのに、そんなこと、言うんじゃねーよ』
この言葉は、ウサギの心のなかに強く根付いていて、ジグジグとウサギを痛めつけました。そう。この言葉は、キツネの口からでた言葉なのです。
彼女はキツネのいない部屋で、一人、ため息をつきました。

ひとりぼっちの彼女の前に、一人のトラが現れました。
トラはキツネの幼い頃からの友人だったらしく、よく彼らの家に遊びに来てくれました。
ウサギは、トラのことが怖くて、いつも、隠れていました。
でも・・・。
少しずつ、少しずつ、彼と話すことができるようになっていきました。

ある日のこと。
ちょうど、キツネの仕事が重なり、ウサギが一人のときでした。トラが遊びに来てくれました。
「キツネ、いる?」
「ううん、今、出張でいないの」
「あ、そうなの? ま、いいよ。あがっていい?」
「あ、はい。どうぞ」
部屋にあがらせたのはいいものの、何を話せばいいのか、わからないウサギはずっと黙っていました。
すると、トラがいきなり、こんなことを言い出すのです。
「キツネといて・・・楽しい?」
ウサギはびっくりしました。トラが言うには、ウサギを見て悲しそうに見えたそうで。ウサギは失礼なことをしたと思って謝ると、彼は首を傾げました。
「どうして、謝るの? 君は悪いことなんてしていないのに」
トラはまっすぐにウサギを見つめました。
一瞬だけ・・・。ウサギは本音を言えるような気がしました。でも、ウサギは下を向きました。でも、それはただの一瞬。ウサギは下を向きました。
「私のこと・・・気にしないでください。何でも、ないです・・・から」
と言った瞬間。彼はゆっくりとウサギに近づき、突然抱きしめたのです。トラは体が大きいため、包み込むようにして、彼女を抱きしめました。ほんの突然のことでウサギも動揺してしまいました。
「また、悲しい顔をした。泣いてもいいよ」
「えっ・・・」
「泣きたいときは泣けばいい。だから、その分、また笑えればいいんだ」
彼の言葉に、じーんとしたウサギは泣いてしまいました。彼に甘えて静かに泣きました。トラも優しくウサギの頭を撫でてくれました。
「私・・・、寂しかったんです」
「・・・うん」
「キツネといても、いなくても・・・。心のどこかで寂しいと思ってたんです」
「うん」
ウサギは泣き止むと、トラからそっと離れました。
「ありがとう、トラさん」
ウサギは笑いました。トラも、うんと、頷きました。
「よかった、笑ってくれて・・・。また、来るね」
トラが帰ってからも、ウサギはドキドキとしていました。
突然、抱きしめられたからかもしれません。でも、ウサギはこのドキドキの理由をわかっていました。


トラのことを、好きになったからです



友達にこのことを相談すると、こんなことを言われました。
「トラとウサギなんて、相性が悪いよ。やめた方がいいんじゃない? トラは凶暴な人が多いから」
恋に。そんなこと、関係ない。
ウサギは「大丈夫だよ」と言い切りました。

クリスマスイブ。みんなが楽しみにしていた日が来ました。クリスマスイブとあって、花屋も忙しくなりました。お客さんの数が少なくなって、休憩していると、トラが店に遊びに来てくれました。
「今日、家に・・・行ってもいい?」
「うん、いいよ」
ちょうど、今日、キツネが出張のため、不在でした。
彼はそれだけを告げに来てくれたのです。
ウサギは彼が帰った後も、嬉しくてずっとニコニコと笑っていました。

その日の夜。
窓の外は白い天使たちが舞い降りていました。ウサギは温かいシチューを作り、トラが来るのを待っていました。
実は、彼のために花束を用意していました。彼に想いを伝えるために・・・。
そして、ドアのチャイムが鳴りました。扉の向こうには彼が待っていました。
「いらっしゃい」
「どうも。お邪魔しま〜す」
彼は中に入って、シチューがスタンバイされている席に座りました。ウサギも向かい側に座り、ご飯を食べ始めました。
「・・・シチュー、おいしい?」
つい、自分の作ったシチューの味の具合が気になって、尋ねると
「うん、すっごい、おいしいよ!」
トラは美味しそうにシチューを食べてくれました。ウサギは早めに、プレゼントを渡そうと思いました。
「あの・・・トラさん」
「ん? どうしたの?」
「トラさんに、渡したいものがあるんです」
「ほんと? うれしいなぁ」
「ちょっと、待っててください」
ウサギは、一階の花屋に降りていくと、花束をとって戻ってきました。
プレゼント。
それは、「亜麻」という花をたくさん使った花束。淡い紫色の可愛らしい花が散りばめられた花束です。
彼の前に差し出すと、彼は嬉しそうに笑いました。
「はい、どうぞ」
「うわぁー! 超かわいいっ!」
彼の嬉しそうな顔を見て、ウサギは嬉しくなりました。
「花言葉は・・・何?」
「えっ?」
「ほら、花って、花言葉があるんでしょ? この花たちにもあるんでしょ?」
「は、はい。それは・・・」
ウサギは恥ずかしそうに、続きを言いました。
「『あなたの親切に感謝します』っていう意味です」
『好き』という想いは告げられなくても・・・。感謝の言葉が伝えられればいい。ウサギの顔は赤くなっていました。
トラは一瞬、びっくりしたような顔をしてから、元に戻りました。
「・・・ありがとう」
トラは、亜麻の花束をじーっと見つめながら、話を始めました。
「キツネとは、昔からの幼なじみでさ・・・。」
「うん」
「キツネから、ウサギちゃんのこと、聞いたことがあったんだ。可愛くて、元気で・・・。いい子なんだよって」
「うん」
「会ってみたら、本当に可愛くて、いい子だなぁって思った」
「別に、可愛くなんか・・・」
「でも、一つ、気づいたことがあったんだ。・・・悲しそうな顔をするんだなぁって」
「えっ・・・」
「たぶん、俺のことが怖いから、そんな顔をするんだろうなって思ってた。でも、少しずつ、話せるようになっていったのに、笑った後に、ウサギちゃんはしけた顔をしてた」
ウサギは話を聞きながら、後悔していました。そんな顔をしていたら、トラが気を使うに決まっている。
「だから、キツネがいないときに、泣かせちゃってごめんね」
「そんな・・・。謝らないでください」
ウサギは内心、抱きしめられて、嬉しかったのです。本音を聞いてくれた人物がいたのだから。
「でも・・・。ウサギちゃんの本音が聞けて嬉しかった」
トラは、まっすぐにウサギを見つめて、こう、続けました。
「俺には・・・。寂しがり屋な裏の姿も、明るくてかわいい表の姿も・・・。どんなウサギちゃんでも、俺といるときは、本当の姿を見せてよ」
トラは自分のカバンの中から、花束を出しました。
「ウサギちゃんの店で買えよって話だけど・・・」
ウサギは、その花束を見た途端。涙が流れていました。
「俺・・・。ウサギちゃんとずっと、ずっと・・・。一緒にいたい」
ウサギはその言葉を聞くと、どんどん涙がこぼれて・・・。
ゆっくりとうなずいたのでした。


* * * * *


ウサギの枕元には、大きな花束が置いてありました。ウサギはぐっすりと夢の中。
その花束は、「アヤメ」という花がたくさん散りばめられた花束でした。
花言葉は・・・。



『あなたを大切にします』という意味でした。


fin.

A Bouquet For You

読んでくださって、ありがとうございました!

A Bouquet For You

2足歩行をして、人間のように暮らすどうぶつたちの物語。 今回は恋物語を書いてみました。 難しいことは考えず、温かい目でご覧ください。 心がほっこりしていただけると幸いです。 ウサギ×トラの物語です。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-05

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