明日の記憶
読み聞かせ
「ジー」という音がして、ジルバの朗読が始まった。
私はベッドに寝転んでいたけど、シーツより白昼夢の方が大きかった。
「あなたはライオンね。と赤い紙が言いました。まだ、世界が大きな紙であった時のお話です。くしゃっと線が入ったのがとても昔、それからたくさんの紙に別れたのはついさっきのことです。赤い紙はそんな切れ端のひとつで、ともだちの青い髪とお話をしていました。僕がライオンだって?と青い紙は笑いました。ライオンなら、もういるじゃないか。僕は鳥になりたいよ。赤い紙は怒りました。飛行機として折られた黄色い紙の影がかかったというのもありましたが、それにしても黒い穴のように怒りました。あなたのくたびれ方はライオンにぴったりなの。ライオンがシマウマにおおいかぶさる時にそっくりのくたびれ方なのよ。青い紙はむしろ悲しみました。僕はシマウマよりも空に爪を立てたいんだ。だって、空には限りがないじゃないか」
明日の記憶