practice(133)


百三十三




 蝶番のご機嫌を窺いながら戸を叩くと,かたんかたんの音は小さなお家の軒下の草っ原に落ちるように思える。でも,ミッコにそう言うと首を横に振られて,こうしているでしょ?という顔をされるのだから,私はもう少し困って,本当は二階からでも見てるんでしょ?と聞いてみる。でもミッコは首を横に振る。それから私と二階の窓に顔を向ける。
 兎の足跡を見つけたところからは,いつもより道がまた険しくなって,樹の幹とか変わった形に落ちる影とかに付けた目印を見失わないように,私が振り返ったり,ミッコがあれは?と尋ねたものを新しい目印として覚えたりして,巣穴を見つけることが出来たらいいなと歩く。木の実はポケットに入れ,形が綺麗な石は眺めながらミッコが大事に持っていた。葉っぱは落ちたものでも良かったけれど,生えているものも何枚か枝から取った,合計は十枚。緑が濃くて,匂いが強いものが多かったと思う。重ねたりして,持ちやすくし,端っことかが欠けているものに,虫が齧ったことのような葉っぱに起こったことを考えたりして,ミッコは土を踏み固めたり,ミッコは眩しそうに目を細めたり,話をして,後ろに回ってゆっくりと歩いたり。ミッコには,質問を沢山繰り返した。ミッコはそれに考えながら答えたり,分からないと言って,小走りで先を急いだりしていた。
 眩しそうに目を細めてから,珍しくミッコの後ろをついて歩くこともあった。
 ポケットの中のお菓子を見つけたときには,いつもの道がまた大きくなって,街が長く,山が高く,荷物を運ぶのも大変になる。
 でも,あっ!と驚けば,二人で走って,跳んでいるところを,白い形で見つけることになる。
 でも,あっ!と思えば,私が捕まえて,ミッコがそれを不思議そうに見つめる。長いこと並んでしゃがんで,私の鼻の頭が痒くなって,小さいお家の生垣が刈り込まれていた。
  目印には近くの石を使って,そこに置いた。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-04

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